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整体でボキボキ鳴らす施術の効果について

整体の施術でボキボキ大きな音を鳴らすのはインパクトが強く、一度は体験したことがある人も多いかもしれません。

今回はそんなボキボキ鳴らす施術のメカニズムやメリットとデメリットなどをご紹介していきたいと思います。

 

ボキボキ音が鳴るメカニズム

整体でポキポキ大きな音が鳴ることを一度は目にしたことがあるかと思います。

気持ちいいくらいに大きな音が鳴ることもよくあり、こういった施術が好きな人がたくさんいますが、ボキボキ音を鳴らすのは怖いという人もいます。

 

体内のガスでボキボキ音がなる

ボキボキと大きな音が鳴るのは、関節の中にあるガスが抜ける音であると考えられています

関節包

例えるならば、炭酸飲料を開ける時にポン!と音がするようなものでしょうか。

 

繰り返し音が鳴る場合は骨の接触の可能性も

関節を動かすと何度もゴリゴリと音がする場合があるかと思います。

この場合には関節を動かした時に、骨同士が接触しているなどの要因が考えられます。

肩のインピンジメント

というのもガスが抜ける場合には1度やってしまうと関節内のガスがなくなるので、2度3度と繰り返しボキボキ鳴らすことはできません。

 

指の骨をボキボキ鳴らすクセは良くない?

ケンカの時に指をボキボキならして相手を威嚇するといったベタなシーンがあります。

そういう場面に限らず、指をポキポキ鳴らすことがクセになっている人もいるかもしれません。

ケンカで指を鳴らす

こういったクセは身体に良くないという話を耳にしたことがあるかもしれません。

実際にこれを調べた研究では、ボキボキ鳴らすクセと軟骨がすり減るなどの怪我に関係性はみられなかったという結果になっています2・3

しかし、ボキボキ鳴らすクセがある人は指が太くなりやすい、握力が弱い傾向にあるなどが報告されており、全く悪影響がないとは言い切れないようです。

 

整体のボキボキ施術のメカニズム

ボキボキ鳴らす施術にはどのような身体的な変化が生まれているのか?そのメカニズムについて説明していきたいと思います。

 

関節を整える

ある研究で骨をボキボキ鳴らす前後の状態をMRIで撮影して比べたものがあります。

これによると施術後には関節のスペースが広がっていることが確認できます

(Kawchuk et al 2015より引用)

これによって圧迫された関節のスペースが広がり、負荷の軽減や関節の位置を整えるといった効果が期待できるかもしれません。

最近では脳神経の働きによって効果が生み出される、など様々な説がありますが「なぜ効くのか?」という点でまだまだ科学で解明されていないことも多くあります。

 

プラセボ効果

大きくボキボキ音が鳴ることで、効いている気がするという心理的効果も生まれます

効果があると思い込むことで実際に痛みが減るという、プラセボ効果の可能性も考えられています。

実際にプラセボ効果と比べた場合に、ボキボキ鳴らす施術のほうがより大きな効果がみられたとする研究結果もあることから、単なる心理的効果以上のものがあると考えられます。

 

整体のボキボキ施術の治療効果

整体でボキボキ鳴らすことで関節の痛みから偏頭痛など、様々な症状が改善すると考えられています。間接の痛みに焦点を当てて、その効果を見ていきましょう。

 

首の痛み

ボキボキ鳴らす施術は首の痛みに対して効果を発揮します。

施術をすることで首の痛みの軽減、可動域の向上、満足度が高いなど様々な効果があることが報告されています

首の痛み

首を寝違えたなどの急性の首の痛みに対しても一定の効果を発揮するようです

 

腰痛

ボキボキ鳴らす施術は腰痛に対して一定の効果を発揮します。

数週間の施術で痛みの減少や可動域の向上、日常生活が楽になるなど様々なメリットがあることが報告されています

腰痛

ぎっくり腰などの急性の腰痛に対してボキボキ鳴らす施術の効果は弱くなる可能性があります

腰を痛めてあまり動かせない状態で、腰をボキボキ鳴らすことには慎重な判断が大切かもしれません。

 

大きな音が鳴るほうが効果が高い?

ボキボキ大きな音が鳴ると、なんだか高い効果があるように感じてしまう人も多いかと思います。

しかし、複数の研究でボキボキ鳴る大きな音と可動域や痛みの減少などの効果に関係性はなかったと報告されています10〜12

カイロプラクティック首

ボキボキ音がなるほど肩の可動域の改善効果が高いとする研究結果もありますが、肩関節の全ての動きにこのような関係がみられるわけではなく、特定方向に肩関節を動かす場合に限られているようです13

音が大きく鳴るかどうかは、どの方向に力を加えるか?といった解剖学的な要素などが関係しています14

 

メリット

整体でボキボキ鳴らす施術には様々なメリットがあります。

 

施術時間が短い

施術自体は数分もかからずに、一瞬で終わることも珍しくありません。

これが他の施術ならば数分や数十分などと、長い時間がかかってしまうことがあります。

時間と年月

短い時間で一定の効果が得られるのならば、効率が良いと言えるかと思います。

 

短期的効果に優れている

上述したように、ボキボキ鳴らす施術は腰痛や首の痛みなど様々な症状に対して効果を発揮します。

しかも1回の施術で骨を調整することができるためすぐに身体が楽になるなど、短期的効果が生まれやすい方法であると言えるかと思います。

ストレッチやトレーニングなどで関節を整える場合と比べてみても、ボキボキ鳴らす施術では骨に直接アプローチするため即効性に優れていると個人的に思います。

 

デメリット

どんな方法にも長所と短所があります。ここではそのデメリットについて説明していきたいと思います。

 

長期的効果に弱い

ボキボキ鳴らす施術は短期的効果に優れていますが、長期的効果は微妙なところかもしれません。

施術後は骨が整って状態が良くなるのですが、筋力が改善したわけでもなく、運動の習慣がついたわけでないので、長期的な効果に不安が残ります。

長期的効果を生み出すためには定期的に通い続ける必要がある、とする研究結果なども報告されています15

基本的に数回の施術で何年も効果が続くということはないので、ボキボキ鳴らす施術が特別効果が悪いというわけではないかと思います。

長期的な視点での痛みや怪我予防を考えるのならば、身体のメンテナンス方法を学習し、運動の習慣を身につけ、効果的なエクササイズに取り組む、といったセルフマネジメントが大事になってきます。

自分でボキボキ鳴らすことは難しく、施術者に全てを委ねる依存関係となってしまい、セルフマネジメントが向上せずに長期的効果を生み出しにくいという弱点があります。

 

思わぬ事故につながる可能性も

ボキボキ鳴らす一定のリスクがあり、誤った施術によって事故につながる可能性も考えられます。

実際に私のところにもこういった事故で肩を痛めてしまったという相談が少なからずありました。

 

ボキボキ大きな音を鳴らすために急激に大きな力を関節に加えるため、関節を痛めるなどの事故が起こる可能性が考えられます。

正式な教育を受け、十分な訓練を積めば、こうした適切なプロセスを経ることで可能性は限りなく低くなると考えられています

そして施術による悪影響は関節や筋肉だけではなく、思わぬところで発生してしまう可能性も考えられます。

例えば偏頭痛や脳卒中、血流障害などを併発している場合には、脊柱への施術によって悪影響が起こる可能性があることが報告されています16

このため施術の手技を身につけるだけでなく、内科的疾患など身体の状態を適切に評価することが大事になってきます。

 

ボキボキ鳴らす施術の日本とアメリカの違い

ボキボキ鳴らす施術は日本とアメリカでの違いがあります。

 

日本

日本では整体に国家資格は要らず、民間療法であるため正式な教育を受けていなくても整体院を開業して、ボキボキ音が鳴る施術をすることができます。

このため整体施術でのトラブルや事故といった話を少なからず耳にすることがあります。

施術を学べる整体スクールもピンキリであり、通信教育のみのカリキュラムや最低限のフォローアップがないといった質の悪いスクールが存在するという話を耳にします。

優れた施術家が多いと信じたいところですが、国家資格などの規制がないと最低水準の保証がされず、ひどいレベルの人も紛れ込んでいる可能性も否定できません。

施術者が事故を起こした時の保険があるのですが、保険会社によってはボキボキ鳴らす施術は施術時の保険の対象外となることがあります。

 

アメリカ

アメリカではカイロプラクターの資格制度があり、正式な教育を受けなければ資格を取得できませんし、施術をすることができません。

カイロプラクティックには膨大なカリキュラムが課されており、手技の習得だけでなく、栄養や内科的疾患など幅広いトピックを扱うカリキュラムが多い印象です。

このためアメリカではカイロプラクターには一定の社会的信頼があると思います。

資格教育によって必ずしも凄腕の治療家を生み出せるわけではありませんが、最低水準のレベルに達しているという保証があり、事故のリスクが高いような酷い人が紛れ込んでいる可能性は低いと言えるのではないでしょうか。

 

スポーツ現場でのボキボキ鳴らす施術

私がアメリカのスポーツ現場にいたときはアスレティックトレーナーがボキボキ慣らす施術をすることも珍しくありませんでした。

比較的簡単で安全な部位が対象とはいえ、私自身もアメリカで先輩方から指導されて何度も練習しましたし、実際に選手にボキボキ鳴らす施術をしてきました。

個人的にはこういったボキボキ鳴らす施術は好きではなかったのですが、こういった施術をやらないと選手や上司などからの評価が下がる可能性もあったので頑張って練習するしかありませんでした。

それでも正式な資格を持っていない私のような人間がやるのはリスクがあると思いますし、このような施術は今は全くやっていません。

カイロプラクター施術

専門でやっている人のほうが経験値も高く、しっかりと技術も磨かれ、より安全で効果が高いと思います。

プロのスポーツチームなど予算があるところでは正式な資格を持った人にやらせるのが理想的であると言えます。

とはいえ多くのスポーツチームは十分な予算がないので、一人のトレーナーが広い範囲の仕事をこなさなければならず、付け焼き刃で対処しなければいけない事情があるかもしれません。

 

痛みへの対処や疲労回復、コンディションを整える目的としてボキボキ鳴らす施術は一定の人気があり、十分な資格と経験を積んでいるのならばボキボキ鳴らす施術に大きな問題はないと思います。

一方で大きな怪我をして長期離脱を余儀なくされた選手の怪我の根本的回復を図るケースにおいては、別の方法を試したほうがいいのではないかと思います。

 

まとめ

ボキボキ鳴らす施術には痛みを軽減する効果や可動域を向上させる効果がありますが、十分な知識と経験がないと事故につながる可能性も考えられます。

 

<参考文献>

  1. Demoulin C, Baeri D, Toussaint G, et al. Beliefs in the population about cracking sounds produced during spinal manipulation. Joint Bone Spine. 2018;85(2):239-242. doi:10.1016/j.jbspin.2017.04.006
  2. Castellanos J, Axelrod D. Effect of habitual knuckle cracking on hand function. Ann Rheum Dis. 1990;49(5):308-309. doi:10.1136/ard.49.5.308
  3. Yildizgören MT, Ekiz T, Nizamogullari S, et al. Effects of habitual knuckle cracking on metacarpal cartilage thickness and grip strength. Hand Surg Rehabil. 2017;36(1):41-43. doi:10.1016/j.hansur.2016.09.001
  4. Kawchuk GN, Fryer J, Jaremko JL, Zeng H, Rowe L, Thompson R. Real-Time Visualization of Joint Cavitation. PLoS One. 2015;10(4):e0119470. doi:10.1371/journal.pone.0119470
  5. Honoré M, Picchiottino M, Wedderkopp N, Leboeuf-Yde C, Gagey O. What is the effect of spinal manipulation on the pressure pain threshold in young, asymptomatic subjects? A randomized placebo-controlled trial, with a cross-over design. Chiropr Man Therap. 2020;28(1):6. doi:10.1186/s12998-020-0296-1
  6. von Heymann WJ, Schloemer P, Timm J, Muehlbauer B. Spinal high-velocity low amplitude manipulation in acute nonspecific low back pain: a double-blinded randomized controlled trial in comparison with diclofenac and placebo. Spine (Phila Pa 1976). 2013;38(7):540-548. doi:10.1097/BRS.0b013e318275d09c
  7. Chaibi A, Stavem K, Russell MB. Spinal Manipulative Therapy for Acute Neck Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomised Controlled Trials. J Clin Med. 2021;10(21):5011. doi:10.3390/jcm10215011
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  10. Cleland JA, Flynn TW, Childs JD, Eberhart S. The audible pop from thoracic spine thrust manipulation and its relation to short-term outcomes in patients with neck pain. J Man Manip Ther. 2007;15(3):143-154. doi:10.1179/106698107790819828
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  15. Senna MK, Machaly SA. Does maintained spinal manipulation therapy for chronic nonspecific low back pain result in better long-term outcome? Spine (Phila Pa 1976). 2011;36(18):1427-1437. doi:10.1097/BRS.0b013e3181f5dfe0
  16. Nielsen SM, Tarp S, Christensen R, Bliddal H, Klokker L, Henriksen M. The risk associated with spinal manipulation: an overview of reviews. Syst Rev. 2017;6(1):64. doi:10.1186/s13643-017-0458-y

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