股関節唇損傷

股関節唇のテストと前方・後方への負荷について

股関節の評価には様々な検査方法が用いられていますが、股関節のポジション次第でどこに負荷がかかるのかが違ってくると考えられています。

ついついマニュアルのように機械的に考えてしまいたくなりますが、実際にどのような負荷がかかるのか?というメカニズムを理解しておくことは役に立つのではないでしょうか?

 

股関節唇の評価(整形外科的テスト)

 

前方の股関節唇のテスト

 

後方の股関節唇のテスト

 

股関節唇のテストの主な違い

上記の股関節唇のテストでは主に以下のような違いがあると考えらています。

  • 前方の股関節唇のテストにおいては、股関節を股関節を外転・外旋させます。(FABER test)
  • 後方の股関節唇のテストにおいては、股関節を股関節を内転・内旋させます。(FADIR test)

この情報はあくまでインターネットの複数のページから拾ったものであり、論文などによる裏付けは見つけられませんでした。もしかしたら単なる私のリサーチ不足なのかもしれませんが。

 

股関節のバイオメカニクス

ここで股関節のポジションによって、実際にどのような負荷がかかっているのかを献体での実験結果からみていきましょう。

  • とある献体による実験では股関節屈曲で外転及び内旋の組み合わせによって股関節唇の前方への負荷が最も高まることが報告されています
  • 一方で股関節屈曲と外転の組み合わせによって股関節唇の後方への負荷が最も高まることが報告されています
  • 別の献体による実験では、股関節の屈曲または伸展がニュートラル時においては、股関節の外転・外旋によって股関節唇の前方への負荷が高まることが報告されています。つまり、スポーツなどにおいて股関節をひねったりする動きが股関節唇の前方への負荷に繋がるのではないか?と推測できるわけです。

なかなかややこしいのですが、特定の股関節のポジションと股関節唇の前方と後方への負荷を明確に分離させて考えることは難しいと言えるのではないでしょうか。

つまり、上記の整形外科的テストによって明確に前方か後方かの判断は難しいのではないかと思われます。

 

典型的な股関節の脱臼

参考までに典型的な股関節の脱臼は以下のようなものと考えられており3・4、股関節唇の整形外科的テストとの整合性があることから、簡便的に覚えるのには役に立つかもしれません。

  • 股関節の前方への脱臼は股関節の伸展、外転及び外旋が典型的であると考えられています。
  • 股関節の後方への脱臼は股関節の屈曲、内転及び内旋が典型的であると考えられています。

 

まとめ

整形外科的テストによって股関節唇の特定の箇所だけに負荷をかけることは難しく、やはり正確な評価を得たいのならばMRIなどの検査結果が信頼できるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Safran MR, Giordano G, Lindsey DP, et al. Strains across the Acetabular Labrum during Hip Motion: A Cadaveric Model. Am J Sports Med. 2011;39(1_suppl):92-102.
  2. Dy CJ, Thompson MT, Crawford MJ, Alexander JW, McCarthy JC, Noble PC. Tensile strain in the anterior part of the acetabular labrum during provocative maneuvering of the normal hip. J Bone Joint Surg Am. 2008;90(7):1464-1472.
  3. Starkey C, Brown SD. Examination of Orthopedic & Athletic Injuries. 4th Edition. 2015.
  4. Dawson-Amoah K, Raszewski J, Duplantier N, Waddell BS. Dislocation of the Hip: A Review of Types, Causes, and Treatment. Ochsner J. 2018;18(3):242-252. doi:10.31486/toj.17.0079

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