変形性膝関節症

変形性膝関節症による高位脛骨骨切り術後の膝の負荷の変化

膝の内反及び外反

変形性膝関節症の手術のひとつとして高位脛骨骨切り術があります。膝の軟骨や靭帯などを削ったりするわけではないため比較的リスクが小さいと言われていますが、この手術により骨の構造に影響を与えるため身体にかかる負荷が変わることもあるようです。

 

ポイント

  • 高位脛骨骨切り術は膝の内反(O脚)を改善する効果が期待されています
  • 膝の構造を変化させることで軟骨への負荷を減らすことができます
  • 手術により前十字靭帯や膝の皿など思わぬところに影響を与えることもあるようです

 

高位脛骨骨切り術

高位脛骨骨切り術は膝の内反(O脚)を改善する効果が期待されています。

膝の内反

ある研究では手術の約1年後に歩行動作を調べたところ膝の内反が改善されており、変形性膝関節症の症状も緩和されていたそうです。長期的にも変形性膝関節症に対して一定の効果を発揮するようです

 

 

というのも、膝の内反は膝関節の接触による負荷を高め変形性膝関節症につながりやすくなると考えられています。膝の内反を改善することでこういった負荷が軽減されるわけですね。

変形性膝関節症と歩行動作の変化について

 

膝の負荷の分散

手術により膝の負荷の分散も期待されています。

膝の内反があったときには膝の内側に高い接触の負荷がある傾向にありますが、手術によってこれが外側に分散させる効果もあるようです。ただし、場合によっては外側に負荷がかかりすぎる懸念もあるようです。

足の軸がまっすぐに近づくように手術が行われるようですが、脚をまっすぐにすれば膝に均等に負荷が分散されるわけでもないようで、色々な要素を考慮したうえで手術が行われることかと思います。

(Amis 2013より引用)

ほんの接触する位置がほんの1ミリ違うだけでも、膝の角度がほんの1度違うだけでも、膝にかかる負荷が変わってくることが報告されており、緻密な調整が必要になってくるかと思います。

 

前十字靭帯への影響

前十字靭帯にも関係していることがあります。

高位脛骨骨切り術は場合によっては前十字靭帯損傷のリスクを高めるような骨の形になってしまうこともあるようです。具体的には手術により脛骨の前後の傾斜が変化する場合があることが報告されており、これによって前十字靭帯への負荷がかかりやすくなることが示唆されています。

(Amis 2013より引用)

もちろん手術方法によってその影響は異なってくるため、このような影響がない場合もあるかと思います。

手術後にスポーツをやりたい、といった場合には前十字靭帯損傷のリスクはできるだけ下げておきたいところです。

脛骨の傾斜と前十字靭帯への負荷

 

膝蓋骨への影響

膝蓋骨への影響もあるかもしれないようです。

ある研究においては手術の位置によっては膝蓋骨が下がってしまうことが報告されているようです7・8。膝蓋骨の高さが変われば膝周りのメカニズムも変わってくるため、これによって膝への負担が変わることも考えられます。

膝蓋骨の高さと膝痛への影響

 

股関節への影響

手術により股関節にも影響があるかもしれません。

というのも高位脛骨骨切り術は股関節の骨にも影響を与え、これによってお尻の筋肉の働きに影響を及ぼし、股関節への負荷が高まる可能性が示唆されています。骨の位置が変わることでテコの原理が働き、筋肉の負荷が増えるかもしれないという点は興味深いところです。

(Moghtadaei et al 2017より引用)

これがどの程度怪我のリスクにつながるのかどうかは不明ですが、膝だけでなくお尻にも注意が必要なのかもしれませんね。

 

まとめ

骨の構造を変化させると身体の色々な場所へと大なり小なりと影響が出ることもあるようです。骨の構造とその影響を知ることは怪我予防の簡単で役に立つかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Da Cunha RJ, Kraszewski AP, Hillstrom HJ, Fragomen AT, Rozbruch SR. Biomechanical and Functional Improvements Gained by Proximal Tibia Osteotomy Correction of Genu Varum in Patients with Knee Pain. HSS J. 2020;16(1):30-38.
  2. Birmingham TB, Moyer R, Leitch K, et al. Changes in biomechanical risk factors for knee osteoarthritis and their association with 5-year clinically important improvement after limb realignment surgery. Osteoarthritis and Cartilage. 2017;25(12):1999-2006.
  3. Lerner ZF, DeMers MS, Delp SL, Browning RC. How tibiofemoral alignment and contact locations affect predictions of medial and lateral tibiofemoral contact forces. J Biomech. 2015;48(4):644-650.
  4. Amis AA. Biomechanics of high tibial osteotomy. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2013;21(1):197-205.
  5. Marti CB, Gautier E, Wachtl SW, Jakob RP. Accuracy of frontal and sagittal plane correction in open-wedge high tibial osteotomy. Arthroscopy. 2004;20(4):366-372.
  6. El-Azab H, Glabgly P, Paul J, Imhoff AB, Hinterwimmer S. Patellar height and posterior tibial slope after open- and closed-wedge high tibial osteotomy: a radiological study on 100 patients. Am J Sports Med. 2010;38(2):323-329.
  7. Gooi SG, Chan CXY, Tan MKL, Lim AKS, Satkunanantham K, Hui JHP. Patella Height Changes Post High Tibial Osteotomy. Indian J Orthop. 2017;51(5):545-551.
  8. Bin S-I, Kim H-J, Ahn H-S, Rim DS, Lee D-H. Changes in Patellar Height After Opening Wedge and Closing Wedge High Tibial Osteotomy: A Meta-analysis. Arthroscopy. 2016;32(11):2393-2400.
  9. Moghtadaei M, Yeganeh A, Boddouhi B, Alaee A, Farahini H, Otoukesh B. Effect of high tibial osteotomy on hip biomechanics in patients with genu varum: A prospective cohort study. Interv Med Appl Sci. 9(2):94-99.

-変形性膝関節症

© 2021 Hero's Body