ハムストリングスの肉離れ

ハムストリングスの肉離れと骨盤の関係について

ハムストリングスの肉離れ

お尻の筋肉の働きや骨盤の状態などもハムストリングスの肉離れに関係している可能性があります。このことからハムストリングスの肉離れ予防においては骨盤帯などのエクササイズを含めたり、ランニング時の骨盤の働きを見直してみることも役に立つと考えられています。

 

ポイント

  • お尻の筋肉を鍛えることがハムストリングスの肉離れ予防に役に立つ可能性があります
  • 骨盤もハムストリングスの肉離れに関係している可能性があります
  • 特定の姿勢や可動域だけでなく推進力といった全体的な視点も怪我予防に大切かもしれません

 

お尻の筋肉とハムストリングスの肉離れ

お尻の筋肉を鍛えることでハムストリングスへの負荷を軽減できる可能性があります。

大臀筋とハムストリングス

  • サッカー選手60名を対象にランニング動作時の筋肉の活動を調べたところ、お尻の筋肉の活動量が多かった人はハムストリングスの肉離れが少ない傾向にあったそうです
  • 約60名のスプリンターを対象とした研究では、お尻の筋肉の厚さはハムストリングスの肉離れの発生に関係していなかったという報告もあります

こういったことから万能とは言えないかもしれませんが、お尻の筋肉を鍛えることがある程度はハムストリングスの肉離れ予防に役に立つ可能性があるかと思います。

というのもお尻の筋肉とハムストリングスはつながっており、ハムストリングスの働きを多少補える可能性があるためです。

 

骨盤の前傾とハムストリングスの肉離れ

骨盤の前傾などもハムストリングスの肉離れに関係しているのではないか?という考え方があります。

骨盤の前傾

  • 30名のサッカー選手を対象に1シーズンの追跡調査をしたところ、肉離れをした選手はランニング時に骨盤が前傾している傾向にあったようです

骨盤の前傾がハムストリングスの肉離れにつながる理由としては、ハムストリングスがより引き伸ばされるかもしれないというように考えられているようです3・4

 

ハムストリングスが引き伸ばされることが肉離れの原因?

ハムストリングスの柔軟性不足はそこまで大きなリスクではなく、可動域が確保されている限りはそこまで大きな影響を与えないと過去の研究で明らかにされています。

どちらかというとハムストリングスが伸びた状態での筋力不足のほうが怪我につながりやすかったりします。

このため骨盤の前傾によりハムストリングスが引き伸ばされることが肉離れにつながる、というのは少し疑問が残るところです。

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骨盤の前傾が肉離れと関係している?

骨盤の前傾が問題というよりも、推進力が少ないことで身体に大きな負荷がかかっている可能性も考えられます。

(Scheurmans et al 2017)

というのも論文で示されていた肉離れをした人のランニングフォーム(上の図の右側)は走り方の効率が悪く、ブレーキがかかっていて推進力が得られにくいから、身体への負荷が高まるんじゃないのか?という疑問があります。

下の図のように効率の良いランニングフォームはもう少し違うものになると思うんですね。

写真の一瞬の印象になってしまいますし、どのように算出したのか詳細がわからないので想像の域をでませんが、骨盤の前傾の問題というよりも体幹部の前傾とか身体をうまく使えていないこと等ほうが強い印象を受てしまいます。

 

骨盤の前傾は足を速くするという説について

一般的に骨盤の前傾があると足が速くなると言われることがあります。

ただし、上記の研究結果における骨盤の前傾と、いわゆる足が速くなる骨盤の前傾とは別の定義ではないか?と個人的には思います。

というのも、この動作解析方法のモデルの設定などから骨盤が前傾しているかどうか十分に捉えられない可能性が考えられます。

(Scheurmans et al 2017)

こういったことから、骨盤の前傾が足を速くすることとハムストリングスの肉離れの関係性には疑問が残るところです。

 

まとめ

骨盤のアライメントを整えることがハムストリングスの予防につながるのかどうか明確な結論は出ていませんが、お尻の筋肉を鍛え骨盤周りを整えて推進力が出るようなランニングフォームにすることは怪我を防ぐ上でもパフォーマンスアップの上でも役に立つ可能性があるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Schuermans J, Danneels L, Van Tiggelen D, Palmans T, Witvrouw E. Proximal Neuromuscular Control Protects Against Hamstring Injuries in Male Soccer Players: A Prospective Study With Electromyography Time-Series Analysis During Maximal Sprinting. Am J Sports Med. 2017;45(6):1315-1325.
  2. Hirose N, Tsuruike M. Differences in the Electromyographic Activity of the Hamstring, Gluteus Maximus, and Erector Spinae Muscles in a Variety of Kinetic Changes. Journal of Strength and Conditioning Research. 2018;32(12):3357-3363.
  3. Scheurmans J, Van Tiggelen D, Palmans T, et al. Deviating running kinematics and hamstring injury susceptibility in male soccer players: Cause or consequence? Gait Posture. 2017;57:270-277.
  4. Shield AJ, Bourne MN. Hamstring Injury Prevention Practices in Elite Sport: Evidence for Eccentric Strength vs. Lumbo-Pelvic Training. Sports Med. 2018;48(3):513-524.

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