ハムストリングスの肉離れ

ハムストリングスの肉離れと神経伝達速度

疲労の蓄積によって神経伝達が乱れ、ハムストリングスの肉離れが引き起こされるという考え方があります。そこでハムストリングスの肉離れと神経伝達に関するメカニズムや、負荷を与え続けることによる神経伝達速度への影響と、その対策についてご紹介していきたいと思います。

 

ポイント

  • ハムストリングスの肉離れをした人達の坐骨神経の伝達速度が低下している傾向にあります
  • 負荷を与え続けると神経伝達速度が低下する傾向にあるようです
  • 適度な休養によって神経伝達速度が回復していく傾向にあるようです

 

神経伝達速度の低下

ハムストリンスグの肉離れに神経伝達も関わっているかもしれません。

  • ハムストリングスの肉離れをした人達の坐骨神経の伝達速度が低下している傾向にあるようです

ハムストリングスの肉離れを防ぐためにはハムストリングスの働きが大事ですが、こういった神経伝達という要素もハムストリングスの筋肉の機能低下に関係しているかもしれません。

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神経伝達と怪我のメカニズム

神経伝達は筋力発揮に影響を及ぼし、やがて怪我につながる可能性が考えられます。

ハムストリングスを直接調べた研究は少ないのですが、肩に関する研究で興味深いものがあります。

ビーチバレー

  • ある研究ではビーチバレーボール選手においてローテーターカフ筋力低下と同時に神経伝達速度の低下やシグナルが低下していたことが報告されています

身体を酷使していることで神経に何らかの負荷がかかり、それに伴い筋力低下も起きているのではないか?と考えられます。ただ、この研究だけでは詳細なメカニズムはわかりません。

 

負荷によって神経伝達速度が低下する?

身体へ負荷が与え続けられると神経伝達速度が低下することがあります。

ハムストリングスに関する研究は少ないため、手の神経に関する研究からそのメカニズムを考察していきます。

 

正中神経

  • 3週間の手作業を伴う仕事に取り組んだところ、手の神経の伝達が少しばかり低下していた傾向にあることが報告されています
  • ある実験で一定程度のエキセントリック収縮の負荷をかけたところ、神経の伝達速度が低下していたことが報告されています
  • 神経の腫れと神経伝達速度に相関関係がみられたことが報告されています
  • 動物実験ではエキセントリック収縮を繰り返したところ神経の髄鞘(myelin sheath)のタンパク質の一種が減少していたことが報告されています
  • 手首を酷使することで手首周りの神経の伝達速度が低下するが、必ずしも怪我や症状に関係しているわけではありません

このようなことから強い負荷を与えすぎると神経伝達が低下してしまう可能性があるわけです。

 

対策

神経伝達速度を高めるトレーニングなど個別に対応するよりも、休養や普段の身体のケアをしっかり行うというのが現時点での対策ではないかと考えています。

筋肉の疲労やダメージなどによって神経伝達速度の減少が引き起こされていることは確認されており、基本的な身体のケアが役に立つ可能性が考えられるわけです。

ハムストリングスのストレッチ

  • 休養により神経伝達速度が回復することが報告されています3・5
  • 神経を適度に伸ばす分には血流増加などの効果が見られますが、神経の伸ばしすぎは神経伝達速度の低下を招く恐れがあります

直接の効果を検証した研究ではありませんが、以上から適度な休養と身体のケアによって神経伝達にある程度いい影響を与えることができるのはないかと考えられます。

 

まとめ

ハムストリングスの肉離れの怪我に神経伝達が関わっているかもしれません。詳細なメカニズムについてまだまだわからないことも多くありますが、適度な休養や身体のケアによってある程度の対策をすることができるかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

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