研究手法

H反射とは?

筋肉と神経の働きを調べるためにH反射というものが用いられることがありますが、そのメカニズムを知らないと誤解が生まれてしまうこともあるかと思います。

そこでH反射の仕組みや解釈の注意点などを記載していきたいと思います。これは主に自分自身の研究を進める上でのメモのような内容でもあります。

 

H反射(H-reflex)の由来

20世紀初頭にPaul Hoffman氏によって提唱されたのがH反射であり、英語でHoffman's reflex、H-reflexなどと呼ばれています。

 

H反射のメカニズム

簡単に言うと伸張反射の一種であり、筋肉に電気を流してその反応を筋電図で調べるテストです。

(Zehr 2002より引用)

 

  • 筋肉に電気刺激が流れた時に、その神経の大きさから筋紡錘(Ia afferents)が先に反応します1・2。このことからpre-synaptic inhibitionを調べることができると考えられています。
  • 電気刺激により筋肉の反応が発生することから、電気への反応次第で神経の興奮度(α motor neuron)を間接的に調べることができると考えられています。上記の要因の影響を受けるため間接的な検証にすぎないのですが、誤解を招くこともあるようです。

このようにH反射のメカニズムを知ることで、何が検証されているのかを理解する手助けになります。

 

M waveとは?

M waveとは遠心性運動反応(Efferent motor response)であると考えられています

(Zehr 2002より引用)

強い電気を流すほど小さなmotor neuronの反応が大きくなっていくことが知られています

(Zehr 2002より引用)

一方でH反射は電流の強さに比例して高まるわけではありません。

 

H: M Ratio

上記のように強い電気を流すことが必ずしも強い反射を生み出すわけではないので、H反射の測定にはひと工夫が必要になってきます。

(Zehr 2002より引用)

刺激や伸張反射の度合いなどによるH-reflexが影響を回避するために、H-reflex / M waveという比率を用いたり、M waveの度合いを一定にして比較可能性を高めるという方法が用いられています。(最大値の20%前後がよく用いられているM waveの基準値だとか)

 

計測時の注意点

色々な要素に影響される。

  • 筋肉の緊張状態や活動状態(background excitability)によって影響を受けることが報告されています
  • 身体の状態や姿勢によって影響を受けることが報告されています

このように色々な要素によってH反射が影響を受けてしまうため、できるだけ様々な条件を均一にした上で計測・比較することが大切になってきます。

 

まとめ

H反射の特有のメカニズムを知ることが大事であり、この理解があるかないかでH反射を使った研究結果の解釈に差が生まれてしまう気がします。

 

<参考文献>

  1. Zehr EP. Considerations for use of the Hoffmann reflex in exercise studies. Eur J Appl Physiol. 2002;86(6):455-468.
  2. Kasai T. Analysis of neural mechanisms on human vohmtary movement using transcranial magnetic stimulation (TMS )and H −reflex methods. Japanese society of physical education. Published online 2004.
  3. McNeil CJ, Butler JE, Taylor JL, Gandevia SC. Testing the excitability of human motoneurons. Front Hum Neurosci. 2013;7. doi:10.3389/fnhum.2013.00152
  4. Taube W, Gruber M, Gollhofer A. Spinal and supraspinal adaptations associated with balance training and their functional relevance. Acta Physiol (Oxf). 2008;193(2):101-116. doi:10.1111/j.1748-1716.2008.01850.x

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