股関節の怪我のメカニズム

グロインペインを発症しているサッカー選手の動きについて

股関節の痛み

サッカー選手の悩みの種のひとつがグロインペインかと思います。股関節の筋肉に痛みが生じ、意外と長期化することも珍しくないやっかいな怪我であると言えます。一般的にはキックの動作などで股関節の筋肉が酷使されたことでグロインペインが起きると考えられていますが、サッカーの動きの質にも意外な原因が隠されているかもしれません。

 

ポイント

  • グロインペインを発症している選手は方向転換時の身体の連動性が低下している可能性があります
  • グロインペインを発症している選手のキックは身体全体をうまく使えていない可能性があります
  • 連動性を高めて身体全体をうまく使えると負荷が軽減されるかもしれません

 

グロインペインと急激な方向転換の動作

サッカーには急な方向転換がつきもので、この動作の質がもしかしたら股関節の痛みに影響しているかもしれません。

サッカーの切り返し

  • ある研究でグロインペインを発症しているグループとそうでないグループの切り返し動作の違いを調べた研究があり、グロインペインを発症しているグループとそうでないグループでは各関節間における連動性に違いが見られたそうです。具体的には、左右の脚と骨盤の連動性、左右の脚と胸まわりの連動性、骨盤と胸まわりの連動性に違いがあったようです。
  • 動きのバリエーションにも違いがあり、グロインペインを発症しているグループの方が骨盤と胸椎の連動性においてより大きなバリエーションがあったそうです

この動きのバリエーションという概念はまだまだ歴史が長くない分野であり、複雑な動きを評価しているため解釈の仕方が非常に難しいところです。この研究においてはグロインペインを有しているグループは動きの連動性が低下していることから、代償運動などで結果的に動きのバリエーションが増えているのではないかというのがひとつの考え方です。

 

キック動作とグロインペインの関係

グロインペインを発症している選手はキック時に体全体をうまく使えていない可能性があります。

  • グロインペインを発症しているサッカー選手とそうでない選手のキック動作の違いを研究したものがあり、グロインペインを発症しているサッカー選手のインサイドキックは膝関節を伸ばす負荷が大きかったそうです
  • グロインペインを発症しているサッカー選手のキックは痛みのないグループと比べて体幹部の回旋動作が小さかったようです

サッカーのゴールキック

この結果を踏まえると、グロインペインを発症しているサッカー選手のキックは膝の力に大きく頼っており、痛みのないグループと比べて体全体を使ったキック動作になっていない可能性が考えられますね。

全身を使ったボレーシュート

体全体でキック動作を行い、より効率的なものにすることで身体への負荷を軽減していける可能性がありますね。

 

まとめ

サッカー選手におけるグロインペインは、ターン時の切り返し動作やキック動作といったより実戦に近い動きの質にも痛みの関係性があるので、こういったところからもアプローチしていくことが大事かもしれませんね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Mansourizadeh R, Letafatkar A, Franklyn-Miller A, Khaleghi-Tazji M, Baker JS. Segmental coordination and variability of change in direction in long-standing groin pain. Gait & Posture. 2020;77:36-42.

  2. Murakami K, Miyazawa S, Nagamoto H. Kinetic characteristics of kicking motion between football players with or without groin pain: From motion analysis of the instep kick. Journal of Science and Medicine in Sport. 2017;20:e27.

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