腰痛のメカニズム

腰痛につながりやすいゴルフスイングの特徴

腰痛を抱えているゴルファーは珍しくなく、腰痛はゴルフをする上でのひとつの悩みであると言えるかもしれません。

ここで腰痛につながりやすいゴルフスイングの特徴を文献を交えながらご紹介していきたいと思います。

 

脊柱の屈曲や過伸展

体幹部の屈曲が大きいことがゴルファーの腰痛に関係している可能性があります1・4

背中が丸まっていると筋肉の働きが悪くなり腰への負荷が高まりやすいこと、

身体が前方に大きく傾いているとテコの原理により腰への負荷が大きくなりやすいことなどが考えられます。

(Gulgin et al 2014より引用)

また、脊柱が過度に反ってしまうことも腰の負荷につながると考えられています

アドレス時やフォロースルーなどに腰が過度に反ってしまうことがあるので注意が必要かもしれません。

(Edwards et al 2020より引用)

 

体幹部の側屈

バックスイング時の体幹部の側屈が大きいと腰痛へとつながる可能性があります1・2

体幹部が過度に側屈してしまうのには様々な理由が考えられますが、重心移動や股関節の動きなど体幹部以外のところに原因があることもあるようです。

(Edwards et al 2020より引用)

基本的には体幹部や脊柱はニュートラルポジションのほうが負荷が少なく、曲がったり反ったり捻れたりすることで負荷が増えていきます。

体をひねる動きが腰痛へとつながりやすい?

 

体幹部のねじれ(Crunchファクター)

体幹部の側屈と骨盤の回旋の組み合わせが腰痛につながると考えられています2・3

(Edwards et al 2020より引用)

こちらの要素については賛否両論あり、腰痛との関係性がみられないという研究結果も複数あるようです

力学的には身体を反ったり捻ったりした状態が組み合わさることで腰へのストレスが大きくなるので、注意が必要なフォームのひとつであると言えるかと思います。

 

体幹部の捻り(Xファクター)

体幹部のひねりはXファクターなどと呼ばれゴルフの飛距離と関係していますが、

体幹部の捻りが大きいほど腰のストレスが大きくなる可能性も指摘されています。

(Cheetham et al 2001より引用)

腰の負荷を抑えつつ、いかに効率的に飛距離を出すのか?という点も腰痛防止を考える上で大事なことかと思います。

ゴルフの飛距離が大きいほど腰痛のリスクが高まる?

 

股関節

股関節の可動域の低下がゴルフ選手の腰痛に関係している可能性があります。

腰痛を抱えているゴルフ選手は、特に股関節の内旋の可動域が低下している傾向にあります4・5

股関節の内旋の可動域の測定

ゴルフのスイングにおいても下半身の力をうまくクラブに伝達することが大事であり、

股関節がうまく機能しないと、力がうまく連鎖せずに腰に負荷がかかってしまうこともあるのかもしれません。

 

体幹の筋肉

ゴルフスイング中の体幹部の筋肉の働きも腰痛防止に関わっています。

腰痛を抱えたゴルフ選手は脊柱起立筋の活動パターンが変化している、といった体幹部の筋肉のバランスが乱れている可能性も考えられます。

ゴルフのスイングと体幹の筋力の左右差による腰痛

腹横筋

体幹の筋持久力も腰痛防止に大事であり、体幹の筋肉を肥大化さたりシックスパックを作るための激しいトレーニングをするよりも、

まずは筋肉の持久力を鍛えていくことが腰痛防止に役立つかと思います。

腹筋や背筋の筋力よりも持久力が大事?

 

考察

これまでゴルフ選手の腰痛に関する文献を参考にしながら、腰に負荷のかかりやすいゴルフスイングをみてきました。

腰に負荷がかかりやすいスイングはいくつかあるものの、明らかに誤っているスイングのフォームというのはそこまで数多くあるわけではありません。

 

怪我をするからやってはいけないスイングというのは数が少ないので、その最低ラインを守れば基本的には自由なフォームでスイングをしていいと思っています。

その中でも効率的なフォーム、結果の出やすいフォームなるものがあるかもしれませんが、少なくとも怪我予防という観点からはフォームを過度に指摘・修正しても思うような結果は得られにくいと思います。

 

そもそもスポーツの動作解析やスイング解析で防げる怪我というのは数が限られていますし、

スポーツ科学は正しいスイングやフォームを提供するものではないと思います。

あくまで「スイング中に脊柱が過度に動くと腰に負荷がかかりやすい」といった原理原則を示しているものだと思います。

 

その上で「腰に負荷の負荷を減らしつつ飛距離を出しやすいフォーム」を探るとするのならば、

体幹部や上半身の力に頼るのではなく、地面からの力をうまくクラブに伝えていくことが役に立つかもしれません。

 

まとめ

体幹部や脊柱が過度に反ったり曲がったり捻れたりするフォームが腰への負担がかかりやすい傾向にあり、

股関節や体幹周りなど身体を整えて腰に負荷のかかりにくい状態にすることが腰痛を防ぐのに役に立つかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Lindsay D, Horton J. Comparison of spine motion in elite golfers with and without low back pain. Journal of Sports Sciences. 2002;20(8):599-605. doi:10.1080/026404102320183158
  2. Edwards N, Dickin C, Wang H. Low back pain and golf: A review of biomechanical risk factors. Sports Medicine and Health Science. 2020;2(1):10-18. doi:10.1016/j.smhs.2020.03.002
  3. Cole MH, Grimshaw PN. The crunch factor’s role in golf-related low back pain. The Spine Journal. 2014;14(5):799-807. doi:10.1016/j.spinee.2013.09.019
  4. Kim SB, You J (Sung) H, Kwon OY, Yi CH. Lumbopelvic Kinematic Characteristics of Golfers With Limited Hip Rotation. Am J Sports Med. 2015;43(1):113-120. doi:10.1177/0363546514555698
  5. Vad VB, Bhat AL, Basrai D, Gebeh A, Aspergren DD, Andrews JR. Low Back Pain in Professional Golfers: The Role of Associated Hip and Low Back Range-of-Motion Deficits. Am J Sports Med. 2004;32(2):494-497. doi:10.1177/0363546503261729
  6. Cole MH, Grimshaw PN. Trunk muscle onset and cessation in golfers with and without low back pain. Journal of Biomechanics. 2008;41(13):2829-2833. doi:10.1016/j.jbiomech.2008.07.004
  7. M. Lindsay D, A. Vandervoort A. Golf-Related Low Back Pain: A Review of Causative Factors and Prevention Strategies. Asian J Sports Med. 2014;5(4). doi:10.5812/asjsm.24289
  8. Cheetham, P. J., Martin, P. E., Mottram, R. E., & St. Laurent, B. F. (2001). The importance of stretching the ‘X-factor’ in the downswing of golf: The ‘X-factor stretch’. In P. R. Thomas (Ed.), Optimising performance in golf
    (pp. 192–199). Brisbane: Australian Academic Press.
  9. Gulgin HR, Schulte BC, Crawley AA. Correlation of Titleist Performance Institute (TPI) Level 1 Movement Screens and Golf Swing Faults. Journal of Strength and Conditioning Research. 2014;28(2):534-539. doi:10.1519/JSC.0b013e31829b2ac4

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