股関節の怪我のメカニズム

中臀筋のエクササイズ

中臀筋

中臀筋は股関節の安定性に大きく関わっており、中臀筋の機能低下が怪我のメカニズムに影響を与える可能性があります。このため中臀筋のエクササイズにしっかりと取り組み、中臀筋を鍛えておくことが怪我予防に役に立つ可能性があります。

 

中臀筋の役割について

中臀筋は片足立ち状態やランニングの接地時などに身体のバランスをとる働きがあります。

中臀筋の機能が低下することで左右のズレが生じやすくなったり、身体のバランス保持能力が低下したりすることが考えられます。次の図のように反対側の骨盤が落ちてしまいやすくなると考えられています。

中臀筋と脚長差

参照https://westcoastsci.com/general-blog/2018/6/19/what-is-the-gluteus-medius-and-why-is-it-important-for-runners

特に中臀筋の後部線維が片足バランスにおいて重要であると考えられています。

ロボットに中臀筋を再現して歩行動作をしたところ、次の図のように力学的な理由で中臀筋の後部線維のほうが接地時に身体をサポートする機能を発揮しやすいことが報告されています

中臀筋のモーメントアームの変化

(Shin et al 2018より引用)

ということで中臀筋の特に後部線維は片足バランスを改善し、身体の歪みを整える効果があると考えられています。

 

中臀筋と怪我のリスクについて

中臀筋は身体のバランスに影響を与え、その機能が低下することで怪我のリスクが高まります。

  • 中臀筋の筋力が強いランナーのほうが膝痛の発生率が低いことが報告されています
  • 膝蓋腱炎を発症している人たちは中臀筋の筋力が低下していることが報告されています
  • 捻挫を繰り返してしまう人は歩行動作において中臀筋の活動量が低下していたことが報告されています

 

中臀筋のエクササイズについて

中臀筋のエクササイズをするときに思うようにお尻に力が入らないことも珍しくありません。うまく力が入らない場合にはより簡単なエクササイズから行いましょう。

 

クラムシェルエクササイズ

このエクササイズは貝殻のように足を開くことからClam shell(貝殻)と呼ばれています。中臀筋を鍛えるために用いられることが多いのですが、うまくお尻に力が入らないことも珍しくありません。股関節と膝関節を45度に曲げた状態で横になります。背中とかかとが直線上に位置するような状態になります。両足はくっついたまま、膝を開くような動作をします。この動作を繰り返しましょう。

 

このエクササイズを実施するポイントして・・・

  • 膝を開く時にお尻に力が入っていることを感じながら行いましょう。
  • 骨盤が傾くと別の筋肉に力が入りやすいので、骨盤が動かないよう脚だけを動かす意識で行いましょう。
  • 体幹部や下腹部をぐっと固めながら行うことで、骨盤の動きを減らすことができます。

 

Side Laying Abduction エクササイズ

このエクササイズでは中臀筋の後部線維に効かせるための姿勢や脚の動かし方が重要になってきます。狙ったところにうまく力が入らないことも珍しくありません。下の脚の膝関節が45度くらいになるように横になります。その状態で上の脚をゆっくりと挙げ下げします。

 

このエクササイズを実施するポイントして・・・

  • 脚を上げる時にお尻に力が入っていることを感じながら行いましょう。
  • 骨盤の安定性に重要な中臀筋の後部線維に効かせるためにも、おへそを少しだけ床に向けた状態で行いましょう。
  • 骨盤の安定性に重要な中臀筋の後部線維に効かせるためにも、足は真上ではなく、やや後方に挙げましょう。

 

Fire Hydrant エクササイズ

少し難易度が上がり、四つん這いの姿勢での中臀筋のエクササイズになります。手は肩の真下、膝はお尻の真下になるように四つん這いの姿勢をとります。この状態で片方の脚を横にゆっくりと持ち上げて、元の姿勢へと脚をゆっくり下ろしましょう。この動作を繰り返しましょう。

 

このエクササイズを実施するポイントして・・・

  • お尻に力が入っていることを感じながら行いましょう。
  • 骨盤が傾くと別の筋肉に力が入りやすいので、骨盤はできるだけ水平を保ったまま脚を挙げましょう。
  • 身体が傾くと別の筋肉に力が入りやすいので、脚を挙げる時にできるだけ体幹部が動かないようにしましょう。

 

正しいフォームでやっていてもお尻を使う感覚がわからないという場合もあります。そのような時には他の原因が考えられるので、プロの指導を受けることをオススメしています。

 

<参考文献>

  1. Shin H, Ikemoto S, Hosoda K. Constructive understanding and reproduction of functions of gluteus medius by using a musculoskeletal walking robot. Advanced Robotics. 2018;32(4):202-214.

  2. Ramskov D, Barton C, Nielsen RO, Rasmussen S. High Eccentric Hip Abduction Strength Reduces the Risk of Developing Patellofemoral Pain Among Novice Runners Initiating a Self-Structured Running Program: A 1-Year Observational Study. J Orthop Sports Phys Ther. 2015;45(3):153-161.

  3. Zhang ZJ, Lee WC, Ng GYF, Fu SN. Isometric strength of the hip abductors and external rotators in athletes with and without patellar tendinopathy. Eur J Appl Physiol. 2018;118(8):1635-1640.

  4. DeJong AF, Mangum LC, Hertel J. Gluteus medius activity during gait is altered in individuals with chronic ankle instability: An ultrasound imaging study. Gait Posture. 2019;71:7-13.

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