膝の怪我のメカニズム

反張膝が怪我に及ぼす影響について

姿勢不良には様々なものがありますが、膝が過度に伸びきった状態もそのひとつであり反張膝などと呼ばれることがあります。

ここで反張膝に関する文献を紹介しつつ、怪我に対する影響について書かせていただきたいと思います。

 

ポイント

  • 反張膝を抱えている人は前後のバランスの乱れなどが生じることがあります。
  • 反張膝を抱えいていると捻挫のリスクが高まる可能性があります。
  • その他の怪我については報告は限られており、著しい怪我のリスクになるわけではないようです。

 

反張膝(Genu Recurvatum)とは?

反張膝とは膝の過度な伸展であり、一般的に5°以上の膝の過伸展を指すようです

(Loudon et al 1998より引用)

詳しい原因はわかっていませんが、先天的な骨格や、膝関節の周辺組織の緩さなどによって引き起こされている可能性が考えられています。

 

身体動作への影響について

反張膝を抱えていることで身体動作へ多少なりとも変化が生じる可能性があります。

  • 反張膝を抱えている人達は前後の姿勢保持やバランスが低下している傾向にあることが報告されています
  • 反張膝を抱えている人達は歩行動作において膝や股関節の角度に違いがあるようです
  • 股関節の外旋筋が弱く、膝関節の伸展の筋力が強い傾向にあることが報告されています

 

反張膝による膝への負荷

反張膝を抱えている人は膝への負荷が高まるという考え方があります。例えば次の図のように理論的に前十字靭帯への負荷が高まるはず、という考え方があります

(Loudon et al 1998より引用)

実際に靭帯への負荷を計測した実験によって前十字靭帯への負荷が高まるといった研究結果は見つけることができませんでした。

 

また、反張膝を抱えている人は前十字靭帯断裂後の歩行時の膝の曲がりが少ない傾向にあるようですが、この歩行動作自体も怪我につながるのかというと微妙なところです。

前十字靭帯損傷と歩行動作の変化について

 

怪我の発生状況について

反張膝は怪我のリスクと考えられることがありますが、実際に怪我が増えるといった研究結果はそれほど多く報告されていないようです。

足首の捻挫

  • 反張膝を抱えている人達は足首の捻挫が多い傾向にあったことが報告されています
  • 反張膝の有無は人口膝関節の手術後の膝の状態に大きな違いはないことが報告されています

このように反張膝によって膝への負荷が著しく高まるわけではなく、どちらかというと前後のバランスの乱れなどによって捻挫などの怪我のリスクに影響があるのかもしれません。

 

改善方法など

反張膝は膝の過度な伸展の状態ですので、膝を伸展させる筋肉である大腿四頭筋をストレッチなどで緩めたり、膝を屈曲させる筋肉であるハムストリングスなどの筋肉を鍛えてみるという方法が考えられるかと思います。

ハムストリングスの役割とエクササイズ

 

基本的には反張膝を抱えていても大きな怪我のリスクには繋がりませんが、酷い場合には手術も考えられるようです

個人的にこのようなケースはあまり聞いたことはありませんが・・・。

 

まとめ

反張膝を抱えていることで身体動作への影響が出ることがあり、捻挫などの怪我のリスクが考えられますが、軽度の反張膝であれば著しく怪我のリスクを高めるわけではないかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

<参考文献>

  1. Loudon JK, Goist HL, Loudon KL. Genu recurvatum syndrome. J Orthop Sports Phys Ther. 1998;27(5):361-367. doi:10.2519/jospt.1998.27.5.361
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  8. Dean RS, Graden NR, Kahat DH, DePhillipo NN, LaPrade RF. Treatment for Symptomatic Genu Recurvatum: A Systematic Review. Orthop J Sports Med. 2020;8(8):2325967120944113. doi:10.1177/2325967120944113

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