足の怪我のメカニズム

足のアーチと衝撃吸収という役割について

シューズと足のアーチ

足のアーチの重要性を耳にすることもあり、扁平足などで足のアーチが崩れると怪我をしやすいと言われています。しかし、足の構造やメカニズムはシンプルなものではなく、海外には足専門の医者がいるように足には奥深い働きが隠されています。そこで今回は足のアーチのメカニズムを中心に解説していきたいと思います。

 

ポイント

  • 足のアーチには衝撃を吸収する役割があります、アーチが高すぎても低すぎてもよくないようです
  • 足のアーチの高さ次第で怪我をする場所が変わってくる傾向にあるようです
  • 足のアーチの硬さでも衝撃吸収能力が変わってきます

 

足のアーチは衝撃吸収に役立つ

足のアーチがあることで体重が足全体に分散されうまく衝撃を吸収することができると考えられています。これは橋などの建築物でもアーチ構造を取り入れることで負荷が分散されるため、色々なものにこの仕組みが取り入れられていると言われています。

ウィンドラス機構と足のアーチ

参照https://podiatry.com/etalk/index.php?topicid=15914&section_id=14

しかしながら、アーチは高すぎても低すぎても衝撃吸収能力が低下してしまうと考えられています。

高いアーチと低いアーチ

  • 実際にアーチが高い人のと通常のアーチの人を比べてみたところ、アーチが高い人のほうがより大きな力が地面にかかっていたそうです
  • アーチが低い扁平足の人もより大きな力が地面に働いていたようです

こういったことから足のアーチは衝撃吸収と関係していると考えられており、足のアーチを整えることは怪我予防につながると言われているわけです。

 

アーチの高さで怪我をする部位が違う?

アーチが低い場合もアーチが高い場合も衝撃吸収能力が低下しているのですが、それぞれ違う種類の怪我が発生しやすいと考えられています。

 

足のアーチの高さと怪我の種類

(Williams et al 2001より引用)

いくつかの研究もまとめると一般的に、アーチが高いランナーは疲労骨折や足部の怪我が多く、アーチが低いランナーはどちらかというと膝の怪我が多い傾向にあるようです3〜6

 

一口に衝撃吸収能力が低下すると言っても、アーチが高い場合とアーチが低い場合とで身体にかかる負荷は異なり、その怪我のメカニズムには違いがあります。このためアーチが高い場合と低い場合とでアプローチの仕方が異なってくる可能性に気をつけなければいけません。

 

他の部位の動きでも衝撃吸収能力が変わる

衝撃吸収能力はアーチの高さだけで決まるものではなく、足首や膝、股関節などの動きなどによっても影響を受けます。

 

アーチが高い場合もアーチが低い場合も地面にかかる力の最大値が同じでも、次の図のようにアーチが高い場合のほうが急激に力がかかる傾向にあることが報告されています。黒いラインがアーチが高い場合なのですが、鋭いカーブを描いていることが読み取れるかと思います。

足のアーチの高さと床反力

(Williams et al 2001より引用)

なぜこのような違いが生まれるのかと言いますと、これはアーチの構造以外にも衝撃吸収能力に影響を与える要素があるためです。

足首の動き

足のアーチの高さと足首の可動性

(Williams et al 2001より引用)

この研究においてはアーチが低いグループのほうが着地時の足首の関節に動きが大きいことが確認されており、こういった関節の動きによって衝撃が吸収されているのではないかと考えられます。

 

膝や股関節による衝撃吸収

また、足首の関節だけでなく膝や股関節の動きでも着地時の衝撃吸収ができると考えられています。アーチが低いグループと通常のアーチを持っているグループのジャンプの着地時の動きを調べたところ、アーチが低いグループは膝や股関節の動きが大きくなっていたそうです

このように足のアーチだけで衝撃吸収ができない場合には、膝や股関節も含めた動きなどで衝撃吸収を補っているのではないかと考えられています。ただ、これは他の部位に負荷を分散しているとも考えられ、アーチが低いランナーの膝の怪我が増えているのはこういったところも関係しているのではないでしょうか。

 

アーチの硬さも影響している

足のアーチの高さが同じでもアーチの硬さ次第で身体への負荷が違ってくる可能性があり、例えばアーチが高いとアーチが硬い傾向にあるということが言われています。

 

  • 実際に1000人を超える人達のアーチの高さと硬さを調べた研究があり、アーチが高い人はアーチが硬くなっている傾向があり、アーチが低い人はアーチが柔らかい傾向があるようです。この場合の硬いというのは座っている時と立位時のアーチの高さの違いを表しています。
  • アーチが硬い人とそうでない人のランニング動作を解析したところ、アーチが硬い人のほうがより大きな力が地面に加わっていたそうです

アーチの硬さと床反力

(Williams et al 2014より引用)

このように足のアーチが硬いことで衝撃吸収能力が低下し、身体への負荷が変わってくる可能性があるわけです。

あくまで傾向でありアーチが低くてもアーチが硬い人などもたくさんいて必ずしもイコールではないことに注意が必要です。

 

まとめ

身体への負荷はアーチの高さだけで決まるものではなく、関節の動きや硬さなどによっても影響されますし、他にも履いているシューズの違いによっても影響されます。そして、身体を守るために他の部分の動きなどで負荷に適応しようとすることも十分に考えられます。

また、怪我をするかどうかは衝撃吸収能力だけで決まるものではなく、シューズの選択などによる関節の動きなどなど、たくさんの要素の影響によって怪我のリスクが変わってきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Carson DW, Myer GD, Hewett TE, Heidt Jr Robert S, Ford KR. Increased plantar force and impulse in American football players with high arch compared to normal arch. The Foot. 2012;22:310-314.

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  3. Williams DS, McClay IS, Hamill J, Buchanan TS. Lower Extremity Kinematic and Kinetic Differences in Runners with High and Low Arches. Journal of Applied Biomechanics. 2001;17(2):153-163.

  4. Williams DS, McClay IS, Hamill J. Arch structure and injury patterns in runners. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2001;16(4):341-347.

  5. Kaufman KR, Brodine SK, Shaffer RA, Johnson CW, Cullison TR. The Effect of Foot Structure and Range of Motion on Musculoskeletal Overuse Injuries. Am J Sports Med. 1999;27(5):585-593.

  6. Simkin A, Leichter I, Giladi M, Stein M, Milgrom C. Combined effect of foot arch structure and an orthotic device on stress fractures. Foot Ankle. 1989;10(1):25-29.

  7. Ra Z, C T, Hj H, J S, M N. The Relationship Between Arch Height and Arch Flexibility A Proposed Arch Flexibility Classification System for the Description of Multidimensional Foot Structure. Journal of the American Podiatric Medical Association.

  8. Williams DSB, Tierney RN, Butler RJ. Increased Medial Longitudinal Arch Mobility, Lower Extremity Kinematics, and Ground Reaction Forces in High-Arched Runners. J Athl Train. 2014;49(3):290-296.

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