コラム

FMSは怪我の発生率と関係しているのか?

FMS(ファンクショナルムーブメントスクーリン)などで動作のクセを分析するアプローチがありますが、高い点数があるからといって怪我予防やスポーツのパフォーマンスが優れているとは限らないようです。

 

ポイント

  • FMSによる動作分析と怪我の発生率の関連性は低いです。
  • 7つの動きを評価するだけであらゆるスポーツの動きを予測するのには限界があります。
  • 動作分析をすることで身体への意識が高まり、身体のケアといった行動の変化が見られるのならばそれだけで大きな価値があるかと思います。

 

FMSとはスクリーニングである

よく言われていることなのですが、FMSはスクリーニングツールにすぎないということです。

これはどういうことかというと、正確な評価手法ではなく、あくまで簡易的な評価手法であるということですね。

参照https://www.betterfitnurses.com/post/the-functional-movement-screen-fms

FMSではスポーツなどに共通する7つの重要な動作を評価し、それに基づいてスコアを算出しています。

このコンセプトを例えるのならば「7つの習慣で人生がうまくいく」といったところでしょうか。

7つの大事な習慣というものは存在するかと思いますが、これだけで人生がうまくいくほど甘くないということですね。

 

それでもFMSの長所や短所を理解して使いこなせば、十分に価値を発揮するツールではあるかと思います。

 

FMSのメリット

FMSにはいくつかのメリットがあります。

  • シンプルで手軽に取り組みやすい
  • 複数の専門家の間で共通の指針をつくることができる
  • 多くの人達を素早くさばくのに適している

 

FMSの創始者の一人のセミナーを拝見させていただいたことがあるのですが、FMSの発祥は100人近い選手を素早くさばくために編み出されたという話があります。

「君、この動きできるかい?」

「できないならパワークリーンに取り組むのはちょっと早いから、別のエクササイズをやろうか」

といった感じで、どのエクササイズが適しているのかを素早く判断するためのツールとして生まれたのだとか。

 

FMSのメリットは簡単にできるという点です。

例え理学療法士などの医療従事者資格を持っていなくとも、動作評価が素早くできてしまうところが優れています。

  • 完璧にできる、
  • 動作が乱れるが最後までできる、
  • 動作が最後までできない、
  • 痛みがある

といった4段階評価になり、基本的には多少動作が乱れてもすべての動作が最後まで完了できれば合格なわけですね。

細かいことを言い出すときりがないですが、そもそも正確に緻密にやりたかったらFMSという選択自体が適切ではないと思います。

 

FMSのデメリット

FMSのスコアと怪我やパフォーマンスにはそこまで関連がないわけですね。

例えばFMSのスコアと怪我の発生率はあまり関係がなかったという研究結果が多くありますし、FMSのスコアとスポーツのパフォーマンスの関係は限定的という研究結果も珍しくありません

 

FMSは多くのスポーツに共通する基本的な7つの動作を要約したものであって、これだけであらゆる動作を予測するには限界があるわけですね。

サッカーのパフォーマンスはサッカーの動きで評価したほうがより適切ですし、ゴルフのパフォーマンスはゴルフの動きで評価したほうがより正確になるんじゃないかなと。

 

例えばFMSで有名なポーズがありますが、これはスポーツの動きというよりもウェイトリフティングの動きなんじゃないかと・・・。

ウェイトリフティング

 

もちろん、FMSと怪我が全く関係ないわけではなくて、FMSの動きと近いスポーツなどにおいては怪我の関連性が強くなるということは起こりうるかと思います。

 

しかしながら、FMSは怪我の発生を予測するツールではなく、その人はどういうエクササイズから始めたらいいのか?

という、エクササイズの組み立ての判断材料を素早く簡易的に提供してくれるツールであるという理解がいいのではないかと思います。

 

FMSを使う意味

FMSが意味がないわけではありません。

例えFMSによる動作分析が怪我との関連性が低くとも、動作を改善する過程において取り入れるエクササイズ等が怪我予防につながる可能性があるからです

というのもストレッチやエクササイズに取り組むことで怪我が減る可能性があることはよく報告されています。

 

動作分析の真偽はともかく、動作分析を行うことで身体に対する意識が高まりトレーニングをするきっかけになるのならば、それだけでも意味があるのではないでしょうか?

 

まとめ

FMSは正確な動作分析が行えるツールではなく、あくまで簡易的に素早く評価できる便利なツールではないかと思います。その長所と短所を理解したうえで使いこなすことで大きな価値を発揮するのではないでしょうか。

 

<参考文献>

  1. Armstrong R, Relph N. Screening Tools as a Predictor of Injury in Dance: Systematic Literature Review and Meta-analysis. Sports Med Open. 2018;4(1):33.
  2. Parchmann CJ, McBride JM. Relationship Between Functional Movement Screen and Athletic Performance: Journal of Strength and Conditioning Research. 2011;25(12):3378-3384.
  3. Landis SE, Baker RT, Seegmiller JG. Non-contact anterior cruciate ligament and lower extremity injury risk prediction using functional movement screen and knee abduction moment: an epidemiological observation of female intercollegiate athletes. Int J Sports Phys Ther. 2018;13(6):973-984.
  4. Chao W-C, Shih J-C, Chen K-C, Wu C-L, Wu N-Y, Lo C-S. The Effect of Functional Movement Training After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction: A Randomized Controlled Trial. Journal of Sport Rehabilitation. 2018;27(6):541-545.

 

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