前十字靭帯損傷

着地の前にも前十字靭帯への負荷がかかっている?

バスケットボールにおけるゴール下の空中戦

ジャンプの着地の仕方などで前十字靭帯への負荷が変わると言われており、前十字靭帯断裂の予防のために綺麗な着地ができるようにするためのプログラムが導入されていることがあります。一般的には着地をした後の瞬間が注目されることが多いのですが、着地をする前の瞬間にも怪我の原因があるのではないか?という考え方もあります。

 

ポイント

  • ジャンプの着地前にも前十字靭帯が引き伸ばされているようです
  • 着地前に備えた大腿四頭筋の働きによって負荷が生み出されている可能性があります
  • 反対側にあるハムストリングスを鍛えることでこの負荷を軽減できる可能性があります

 

ジャンプの着地前にも前十字靭帯に負荷がかかる?

ジャンプの着地する前の瞬間が最も前十字靭帯に負荷がかかっている可能性があります。

ジャンプ時の前十字靭帯の長さを直接計測したところ、地面から大きな力がかかる前にも前十字靭帯の負荷がかかっていることが報告されており、地面に接する前の瞬間に前十字靭帯がより引き伸ばされているという研究報告があります

ジャンプ時の前十字靭帯の負荷

(Taylor et al 2011より引用)

この研究で使われた設備はBiplane Fluoroscopyと呼ばれるもので、動作中の骨の動きをミリ単位で捉えることができる精度の高い機器です。(世界に数台しかない機器と言われることもありましたが、現在はどうなんでしょうか?)

Biplane-Fluoroscopyの設備

参照http://mrbl.umn.edu/equipment-software-and-facilities

主観的にはジャンプの着地後のほうが負荷がかかっている印象があるかと思うので、納得できない部分もあるかもしれませんが、興味深いデータであるかと思います。

 

大腿四頭筋が前十字靭帯に負荷をかけている?

地面からの力だけでなく筋肉が生み出す力も前十字靭帯に負荷を与える可能性があります。

大腿四頭筋の解剖図

 

  • ジャンプの着地する直前の瞬間に筋肉が急激に力を発揮していることが報告されており、この着地前の筋肉が生み出す力が前十字靭帯の負荷へと繋がっていると考えられています。
  • 特に大腿四頭筋の筋力は前十字靭帯への負荷につながりやすいということが報告されています
  • 前十字靭帯断裂後には前十字靭帯に負荷を与えるのを避けるために大腿四頭筋の筋力発揮が抑制されるという説もあります。
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ハムストリングスが前十字靭帯の負荷を軽減する

さきほどのような前十字靭帯への負荷はハムストリングスを鍛えることで防げる可能性があります。

仮に大腿四頭筋が前十字靭帯に負荷を与えるとしても、反対の力を生み出すハムストリングスの筋力も発揮されていれば釣り合いをとることができ、前十字靭帯への負荷を軽減させることができます

 

よく言われていることですが大腿四頭筋に対してハムストリングスが弱すぎることは問題になります。このような状態ではバランスを保つことができずに、大腿四頭筋の強すぎる力で前十字靭帯に負荷がかかってしまうリスクがあります。

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また、筋肉が働き始めるタイミングも重要です。前十字靭帯を断裂した人達は筋肉の反応が遅れてしまう傾向があることが報告されています。筋肉が働き始めるタイミングが遅れてしまえば、必要なタイミングでの筋力発揮がなされずに身体により負荷がかかってしまう可能性があります。

 

まとめ

ジャンプなどの着地する直前の瞬間の筋肉の使われ方次第では前十字靭帯への負荷につながる可能性があります。適切な筋力の発揮も怪我を防ぐのに役に立つかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Taylor KA, Terry ME, Utturkar GM, et al. Measurement of in vivo anterior cruciate ligament strain during dynamic jump landing. J Biomech. 2011;44(3):365-371.

  2. Chappell JD, Creighton RA, Giuliani C, Yu B, Garrett WE. Kinematics and electromyography of landing preparation in vertical stop-jump: risks for noncontact anterior cruciate ligament injury. Am J Sports Med. 2007;35(2):235-241.

  3. Shimokochi Y, Shultz SJ. Mechanisms of Noncontact Anterior Cruciate Ligament Injury. J Athl Train. 2008;43(4):396-408.

  4. Kaneko F, Onari K, Kawaguchi K, Tsukisaka K, Roy SH. Electromechanical Delay after ACL Reconstruction: An Innovative Method for Investigating Central and Peripheral Contributions. J Orthop Sports Phys Ther. 2002;32(4):158-165.

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