身体のケア

マッサージなどで筋膜が伸ばされる?

フォームローラーによる筋膜リリース

肩こりの原因は筋膜にある、などと筋肉を覆っている膜に対するアプローチが注目を集めています。しかしながら何にでも効くというような万能な方法があるわけではなく、筋膜がどのような性質を持っているのかを理解することがより効果的な結果をもたらすのに役に立つ可能性があります。

 

ポイント

  • 小さな力で筋膜を伸ばすのは難しいようです
  • マッサージなどによって筋膜が緩むのは感覚器などを通じた影響と考えらています
  • 筋膜と周辺組織との癒着などがほぐれることで筋膜が動きやすくなります

 

筋膜は簡単には伸びない?

筋膜をマッサージなどで伸ばすのは難しいという考えがあります

例えば1.8cmの太さの腸脛靭帯を伸ばすのには約60kgの力が必要であると考えられています。いくつかの手技ではこのような大きな力が加わることがあるものの、マッサージなどの小さな力では腸脛靭帯にこのような力を加えることが難しいと考えられています。

腸脛靭帯

もちろん腸脛靭帯の太さは人によって違うので一概に言えるものではありませんが、基本的には筋膜は丈夫な作りになっています。

しかし、ストレッチではわずかながら筋膜を伸ばす可能性はあるかと思います。エコーにより腸脛靭帯を確認したところ、骨盤や脚の位置などにより腸脛靭帯の形状が変化しているためです

ただし、どのようなストレッチが筋膜を効果的に緩ませることができるのか?についてはまだまだ研究が十分に行われていません。

 

なぜマッサージなどで筋膜が緩むのか?

マッサージなどの力で伸ばしているのだけでなく、感覚器への働きによって緩んでいる面もあります。

このようなことからマッサージなどによって筋膜が緩むのは神経などを通じた影響ではないか?という考え方があるわけですね。特にあまり力を使わないような方法ではこういった影響が大きそうですね。

マッサージによる神経への影響

(Schleip 2003より引用)

フォームローラーによる筋膜リリースでは筋膜自体が伸びるようになるわけではなく、筋膜と周辺組織との癒着などがほぐれることで筋膜がスライドしやすくなり、結果的に柔軟性が改善されるという効果もあります

筋膜の滑走性

(Krause et al 2019より引用)

 

筋膜によってエネルギーの伝達が行われる?

筋膜はエネルギー伝達に貢献しているという考え方があります。

例えば、腸脛靭帯はマッサージなどの力では簡単に伸びませんが、筋肉の収縮によってわずかに腸脛靭帯が伸びる可能性があります

バウンディング

そして腸脛靭帯には筋肉の収縮に伴い弾力性を発揮することでエネルギーの伝達に貢献しているのではないか?という考え方があります

というのも大きく伸び縮みすることはなくても数ミリの変化でもそれなりに大きな力が必要であり、これだけでも弾力性を発揮することでエネルギーの伝達に役に立つ可能性があるのではないでしょうか。

 

まとめ

このように筋膜には可能性が眠っているのかもしれませんし、あるいは過剰評価しているのかもしれません。今後色々なことが解明されていくことが楽しみです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Schleip R. Fascial plasticity – a new neurobiological explanation: Part 1. Journal of Bodywork and Movement Therapies. 2003;7(1):11-19.

  2. Threlkeld AJ. The effects of manual therapy on connective tissue. Phys Ther. 1992;72(12):893-902.

  3. Tateuchi H, Shiratori S, Ichihashi N. The effect of three-dimensional postural change on shear elastic modulus of the iliotibial band. J Electromyogr Kinesiol. 2016;28:137-142.

  4. Krause F, Wilke J, Niederer D, Vogt L, Banzer W. Acute effects of foam rolling on passive stiffness, stretch sensation and fascial sliding: A randomized controlled trial. Hum Mov Sci. 2019;67:102514.

  5. Eng CM, Arnold AS, Lieberman DE, Biewener AA. The capacity of the human iliotibial band to store elastic energy during running. J Biomech. 2015;48(12):3341-3348.

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