股関節インピンジメント

股関節インピンジメントのリスク要因について

スポーツ選手に起こりうる怪我のひとつが股関節のインピンジメントであり、骨盤周りの骨の形状の変化などを伴う傾向にあるようです。練習のしすぎなど股関節インピンジメントには様々な原因が考えられますが、股関節周りの可動域や筋力による影響も考えられます。

 

ポイント

  • 大きな可動域を求められる競技において股関節インピンジメントが起こりやすい傾向にあるようです
  • 先天的な骨の形状次第では股関節に負荷がかかりやすい事例もあるようです
  • 股関節インピンジメントを発症している人は股関節周りの筋肉の働きが低下している傾向にあるようです

 

股関節インピンジメントと可動域について

可動域は股関節インピンジメントに一定の関係があるようで、大きな可動域を伴う動きを繰り返すことや可動域の変化が身体への負荷を高めているかもしれません。

過度に大きな可動域を伴うスポーツ

スポーツによる繰り返しの負荷がかかり続けることで股関節インピンジメントにつながる可能性がありますが、特に大きな可動域を必要とする動きを繰り返すことが股関節インピンジメントの原因となる可能性が示唆されています

例えば、サッカーなどのように色々な脚の動きをするスポーツや、常人離れした可動域を必要とするバレエダンサーなどに股関節インピンジメントが起こりやすかったりしているようです。詳しくはコチラの記事をご覧ください。

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大腿骨が向いている方向による影響

大腿骨が向いている方向によっては股関節インピンジメントに関係している可能性があります

大腿骨頸部前捻角

参照https://quizlet.com/198219851/kine4600-quiz-3-flash-cards/

 

それぞれの研究で異なる結果が出ていますが、大腿骨が向いている方向は何かしらの影響を与えている可能性があるのではないでしょうか。

  • Pincer deformityを伴う股関節インピンジメントにおいて大腿骨が前を向いている傾向にあった
  • Cam deformityを伴う股関節インピンジメントにおいて大腿骨が前を向いている傾向にあった
  • Cam deformityを伴う股関節インピンジメントにおいて大腿骨が後ろを向いている傾向にあった

大腿骨の向き以外にも様々な骨の構造が考えられることや、ダメージを受けている場所の違いなど股関節インピンジメントには様々な種類があることから、大腿骨の角度だけで単純化することはできないかもしれません。

しかし、通常の角度を大きく逸脱するような状態であれば股関節への負荷が高まる可能性が考えらるのではないでしょうか。

 

他の部位の影響

股関節の可動域だけでなく、周辺の部位の可動域も股関節インピンジメントに関係している可能性が考えられます。

  • 股関節インピンジメントを発症している人たちは、体幹部の屈曲が小さいが股関節の屈曲が大きいという報告があります。これは体幹部の機能の低下が股関節への負荷へと繋がっているのかもしれません。
  • 股関節インピンジメントを持っている人たちは仙骨の傾きに変化がある傾向ようです。仙骨が前傾していたという研究データもあれば後傾していたというデータもあり議論が残るところです。

いずれにせよ、こういった周辺の部位の機能低下などが股関節への負担を高めているのかもしれません。

 

股関節インピンジメントと筋肉について

股関節周りの筋肉の働きも股関節インピンジメントに関係している可能性があります。

 

お尻の筋肉

  • 股関節インピンジメントを発症していたグループは股関節の外転や内旋などの筋力が低下していたことが報告されています
  • ある研究で歩行時における筋肉の活動を計測したところ、お尻の奥の小さな筋肉の活動パターンに違いが見られ、股関節インピンジメントを発症していたグループはそのバリエーションが少なかったことが報告されています10。これは色々な動作で負荷を分散ができていないことや、動作の適応能力などが低下しているのではないか?といったことが考えられます。

いずれにしても、筋肉のバランスの乱れや筋肉の働きが低下していることなどが股関節への負荷へとつながる可能性を示しているのではないでしょうか。

 

まとめ

股関節インピンジメントの原因には様々なことが影響していますが、股関節の可動域や筋力などが身体への負荷を高める要因になることがあると思います。身体の状態を整えることで股関節への負荷を軽減させることに役に立つのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Zadpoor AA. Etiology of Femoroacetabular Impingement in Athletes: A Review of Recent Findings. Sports Med. 2015;45(8):1097-1106.
  2. Grantham WJ, Philippon MJ. Etiology and Pathomechanics of Femoroacetabular Impingement. Curr Rev Musculoskelet Med. Published online July 5, 2019:253-259.
  3. Sutter R, Dietrich TJ, Zingg PO, Pfirrmann CWA. Femoral antetorsion: comparing asymptomatic volunteers and patients with femoroacetabular impingement. Radiology. 2012;263(2):475-483.
  4. Kraeutler MJ, Chadayammuri V, Garabekyan T, Mei-Dan O. Femoral Version Abnormalities Significantly Outweigh Effect of Cam Impingement on Hip Internal Rotation. J Bone Joint Surg Am. 2018;100(3):205-210.
  5. Lerch TD, Todorski IAS, Steppacher SD, et al. Prevalence of Femoral and Acetabular Version Abnormalities in Patients With Symptomatic Hip Disease: A Controlled Study of 538 Hips. Am J Sports Med. 2018;46(1):122-134.
  6. Lerch TD, Siegfried M, Schmaranzer F, et al. Location of Intra- and Extra-articular Hip Impingement Is Different in Patients With Pincer-Type and Mixed-Type Femoroacetabular Impingement Due to Acetabular Retroversion or Protrusio Acetabuli on 3D CT-Based Impingement Simulation. Am J Sports Med. 2020;48(3):661-672.
  7. Fader RR, Tao MA, Gaudiani MA, et al. The role of lumbar lordosis and pelvic sagittal balance in femoroacetabular impingement. Bone Joint J. 2018;100-B(10):1275-1279.
  8. Pierannunzii L. Pelvic posture and kinematics in femoroacetabular impingement: a systematic review. J Orthop Traumatol. 2017;18(3):187-196.
  9. Diamond LE, Wrigley TV, Hinman RS, et al. Isometric and isokinetic hip strength and agonist/antagonist ratios in symptomatic femoroacetabular impingement. Journal of Science and Medicine in Sport. 2016;19(9):696-701.
  10. Diamond LE, Hoorn WV den, Bennell KL, et al. Coordination of deep hip muscle activity is altered in symptomatic femoroacetabular impingement. Journal of Orthopaedic Research. 2017;35(7):1494-1504.

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