身体のケア

運動療法〜身体を動かすことで痛みを減らす〜

運動は良薬であると言われるように、運動には様々な効果があり健康に欠かせないものです。興味深いことに運動には痛みを抑制する効果もあるため、これをうまく利用することで身体の痛みを改善していく可能性があります。

 

ポイント

  • 運動に取り組むことで鎮痛効果のある神経伝達物質が増える可能性があります。
  • 運動による鎮痛効果は短期的なものである可能性もあり、長期的な鎮痛効果には限界があります。
  • 最初はシンプルな運動でも徐々に次へと進むことができれば、怪我の原因解決への可能性は広がります。

 

運動と神経伝達物質

痛みには神経伝達物質が関わっており、運動に取り組むことで様々な神経伝達物質が分泌される可能性があります。

 

アドレナリン

アドレナリン興奮時に分泌され、ストレス反応の役割があります。

スポーツ中に痛みを感じなくなる、といったことが有名ではないでしょうか。

 

セロトニン

セロトニンは生体リズムを整える役割があります。

セロトニンも鎮痛に関わっており、エクササイズを行うことでもセロトニンの分泌量が増えるようです

 

βエンドルフィン

脳の報酬系に関わっており幸せを感じる時に分泌されやすいとか。

ランナーズハイを引き起こす神経伝達物資であると考えられており、エクササイズでもβエンドルフィンの分泌量が増えるそうです2・3

 

オピオイド

麻薬性鎮痛物質などと言われるもので鎮痛剤としても用いられています。

数週間エクササイズに取り組むことでオピオイドの分泌量が増え、痛みへの耐性が少しだけ強くなることが報告されています2・4

 

エクササイズによる痛みの解消について

エクササイズは決して万能薬ではなく限界もあるため、それを踏まえた上でのアプローチが大切になるかと思います。

  • 痛みがある筋肉を動かしても痛みの抑制効果は少なく、痛みのない範囲で行うことが大切だったりします
  • 短期的には痛みのないエクササイズのほうが優れているが、長期的には痛みのあるエクササイズとの違いはないようです

エクササイズによる鎮痛効果は短期的である可能性があるため、漠然とエクササイズを続けるのではなくて怪我の原因を解消していくことが大切です。

最初はシンプルな運動でもいいので痛みの減少や身体の変化を引き出して、徐々に次の運動へと進めれば可能性は広がるのではないでしょうか。

普段から運動しているアスリートにも鎮痛効果があるのか?というと微妙なところではあります。

しかし、運動しないことによる筋力や可動域の低下などといった負の連鎖が生まれる可能性があり、何かしらの運動に取り組むことで負の連鎖を防ぐことは重要かと思います。

 

負荷の小さな運動でいいから始めてみる

ちょっとした体操、プール、アイソメトリック収縮などなど最初は負荷の小さい運動から始めてみるのも悪くないと思います。

劇的な効果を発揮するとは限りませんが、痛みが少し減ることで新たなエクササイズや運動に取り組むきっかけになるのではないかと思います。

 

逆に言えば、普段運動していない人が特別な道具を使った負荷の軽い運動をすると身体の痛みが緩和され、「〇〇という方法は凄い!」と勘違いすることがあったりなかったり・・・。

 

まとめ

運動には様々な健康効果をもたらしますが痛みの軽減もそのひとつです。運動による痛み減少の性質を理解することで、運動による痛み改善の効果をうまく引き出せるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Bobinski F, Ferreira TAA, Córdova MM, et al. Role of brainstem serotonin in analgesia produced by low-intensity exercise on neuropathic pain after sciatic nerve injury in mice. Pain. 2015;156(12):2595-2606. doi:10.1097/j.pain.0000000000000372
  2. Stagg NJ, Mata HP, Ibrahim MM, et al. Regular exercise reverses sensory hypersensitivity in a rat neuropathic pain model: role of endogenous opioids. Anesthesiology. 2011;114(4):940-948. doi:10.1097/ALN.0b013e318210f880
  3. Kami K, Tajima F, Senba E. Exercise-induced hypoalgesia: potential mechanisms in animal models of neuropathic pain. Anatomical Science International. 2017;92(1):79-90. doi:10.1007/s12565-016-0360-z
  4. Bruehl S, Burns JW, Koltyn K, et al. Are endogenous opioid mechanisms involved in the effects of aerobic exercise training on chronic low back pain? A randomized controlled trial. Pain. 2020;161(12):2887-2897. doi:10.1097/j.pain.0000000000001969
  5. Nijs J, Kosek E, Van Oosterwijck J, Meeus M. Dysfunctional endogenous analgesia during exercise in patients with chronic pain: to exercise or not to exercise? Pain Physician. 2012;15(3 Suppl):ES205-213.
  6. Smith BE, Hendrick P, Smith TO, et al. Should exercises be painful in the management of chronic musculoskeletal pain? A systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2017;51(23):1679-1687. doi:10.1136/bjsports-2016-097383

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