脳神経

加齢による感覚入力の低下と筋活動の変化

足裏にはたくさんの感覚器がありますが、加齢によってこれらの感覚が鈍くなることがあります。姿勢や動きをコントロールにはこういった感覚器が関与しているため、感覚の低下は身体に色々な影響を及ぼすことが考えられます。

 

ポイント

  • 加齢によって足裏の感覚が鈍くなる傾向があるようです。
  • 足裏の感度の変化によって姿勢の乱れにつながることもあるようです。
  • 感覚が鈍くなってくると筋肉を固めたりするなどの代償によって姿勢をコントロールする可能性があります。

 

感覚器について

皮膚の感覚器の種類

人間の皮膚には様々な感覚器があり、熱刺激や痛み、物理的刺激など検出することができる刺激が違ってきます。

 

その中でも足裏の振動を検出する能力の違いによって以下のように分けられています1・2

  • 速順応 FAI (Fast Adapting Type I); 8〜64 Hz
  • 速順応 FAII (Fast Adapting Type II); 64〜400 Hz、パチニ小体(pacinian corpuscle)
  • 遅順応 SAI (Slow Adapting Type I); 2〜32 Hz
  • 遅順応 SAII (Slow Adapting Type I); 〜8 Hz

そして、これらの感覚器は足裏に以下のように分布しているそうです

(Strazalkowski et al 2017より引用)

これらの感覚器の種類によって触覚や圧力など違う刺激を検出する役割があるとか諸説ありますが、研究した論文を遡って調べても明確な答えが得られなかったのでこれ以上の説明は割愛させていただきます3〜6

 

加齢による感覚器の精度の低下

加齢によって足裏の感覚が鈍くなりやすいことがあります。

  • ある実験では高齢者は50Hz以上の振動を検出する能力が低下している傾向にあったことが報告されています。いわゆるパチニ小体の感度が低下しているといったところでしょうか。
  • 親指の感度が高いと、歩行時にその部分への圧力が高まる傾向にあることが報告されています
  • 足裏の感度が低いと目を閉じた時に足裏の圧力が乱れやすく、姿勢が不安定になる可能性があることが示唆されています

明確な関係性はまだまだわかっていませんが、足裏の感度の低下が姿勢や歩行動作に何かしらの影響を及ぼしているかもしれません。

 

感覚入力低下による筋活動パターンの変化

感覚入力が低下すると自分の身体をうまくコントロールしにくくなり、筋活動にも変化が生じる可能性があります。

立位姿勢

  • 高齢者は目を閉じた状態において筋肉の共同収縮が強まる傾向にあることが報告されています
  • これは目を閉じた状態では感覚入力が乏しくなり、適切なタイミングで筋肉を働かせるといった対応がしにくくなっている可能性が考えられます。ただ、この研究においては足裏の感覚の鋭さは検証していないのでこの考え方は推測にすぎません。

このように感覚入力が乏しくなることでうまく身体をコントロールできなくなる、ということが起こり得るのではないでしょうか。

 

足裏の感覚が鈍くなった時の改善方法の例

足裏の感覚が鈍くなった時には刺激を入れることで一定の効果が出ることがあるようです。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

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まとめ

加齢により足裏の感覚などが低下していく可能性があり、その結果として姿勢や歩行動作などにも変化が生じるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Wells C, Ward LM, Chua R, Inglis JT. Regional variation and changes with ageing in vibrotactile sensitivity in the human footsole. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2003;58(8):680-686. doi:10.1093/gerona/58.8.b680
  2. Strzalkowski NDJ, Ali RA, Bent LR. The firing characteristics of foot sole cutaneous mechanoreceptor afferents in response to vibration stimuli. J Neurophysiol. 2017;118(4):1931-1942. doi:10.1152/jn.00647.2016
  3. Johansson RS, Landström U, Lundström R. Responses of mechanoreceptive afferent units in the glabrous skin of the human hand to sinusoidal skin displacements. Brain Res. 1982;244(1):17-25. doi:10.1016/0006-8993(82)90899-x
  4. Johansson RS. Tactile sensibility in the human hand: receptive field characteristics of mechanoreceptive units in the glabrous skin area. J Physiol. 1978;281:101-125.
  5. Knibestöl M, Vallbo ÅB. Single Unit Analysis of Mechanoreceptor Activity from the Human Glabrous Skin. Acta Physiologica Scandinavica. 1970;80(2):178-195. doi:https://doi.org/10.1111/j.1748-1716.1970.tb04783.x
  6. Knibestöl M. Stimulus—response functions of rapidly adapting mechanoreceptors in the human glabrous skin area. J Physiol. 1973;232(3):427-452.
  7. Nurse MA, Nigg BM. Quantifying a relationship between tactile and vibration sensitivity of the human foot with plantar pressure distributions during gait. Clin Biomech (Bristol, Avon). 1999;14(9):667-672. doi:10.1016/s0268-0033(99)00020-0
  8. Hämäläinen H, Kekoni J, Rautio J, Matikainen E, Juntunen J. Effect of unilateral sensory impairment of the sole of the foot on postural control in man: Implications for the role of mechanoreception in postural control. Human Movement Science. 1992;11(5):549-561. doi:10.1016/0167-9457(92)90015-4
  9. Benjuya N, Melzer I, Kaplanski J. Aging-Induced Shifts From a Reliance on Sensory Input to Muscle Cocontraction During Balanced Standing. The Journals of Gerontology: Series A. 2004;59(2):M166-M171. doi:10.1093/gerona/59.2.M166

 

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