膝の怪我のメカニズム

スポーツによる骨髄浮腫と脚の痛み

スポーツに取り組んでいると知らず知らずのうちに身体にダメージが蓄積されていきます。

その影響のひとつとして、スポーツや脚の痛みと骨髄浮腫との関係が注目されることがあります。

 

 

ポイント

  • スポーツなどで骨に負荷がかかり続けると骨髄浮腫へとつながります。
  • 骨髄浮腫を抱えているスポーツ選手は珍しくなく、多くは痛みなどの症状がありません。
  • 慢性的に負荷がかかり続け、ダメージの蓄積によって脚の痛みにつながることもあります。

 

骨髄浮腫(Bone Marrow Edema)とは?

骨髄

骨髄というと骨の中心にある黄色骨髄というイメージが強いのですが、赤色骨髄と呼ばれるものもあります。

赤色骨髄のうち関節の近くにも存在しているものが、何らかの理由で腫れる(浮腫)ことがわかってきています。

(Akhavan et al 2020より引用)

骨髄浮腫という名前は少し強烈な印象がありますが、MRIで見てみると疲労骨折などに近い部分もあるようです

骨髄浮腫の原因には、炎症による反応、血流制限、物理的ストレスなど様々な説が唱えられています。

 

スポーツによる負荷の蓄積

スポーツの練習や試合による負荷の蓄積で、骨髄浮腫、すなわち骨が腫れにつながることがあります。

足の痛み

  • スポーツにおける骨が圧迫されるような負荷は骨髄浮腫につながる可能性があると考えられています
  • マラソンランナーにも骨髄浮腫が関係しており、ランニング後やマラソンシーズン中に骨髄浮腫が増える傾向にあり4・5、一方で古い骨髄浮腫は徐々に消えていくものも多いことが報告されています
  • アライメントの乱れなども骨髄浮腫に関係しており、意図的な足部のプロネーションによって骨髄浮腫が増えることが報告されています

このように骨に過剰な負荷がかかることで、炎症などにより骨が腫れ、骨髄浮腫へとつながる可能性があるようです。

 

骨髄浮腫と痛みの関係

骨髄浮腫がただちに痛みや怪我につながるというと、そういうわけではありません。

サッカーでの方向転換

  • 骨髄浮腫があるサッカー選手に珍しくなく、多くのケースでは痛みや症状がないことが報告されています7・8・9
  • 脚の痛みを骨髄浮腫を抱えていることが多いという報告もありますが10・11、骨髄浮腫は痛みの程度や変形性膝関節症などの症状に関係ないとする研究結果もあります12・13・14
  • 骨髄浮腫を持っている人はそもそも過剰に負荷がかかっている可能性もあり、徐々に他の場所にも骨髄浮腫ができる可能性があります15

スポーツ選手ならば軽微な骨髄浮腫を抱えていることは珍しいことではなく、それが必ずしも痛みや運動制限につながるわけではありません。

過剰な練習や疲労の蓄積によって脚の痛みにつながる可能性もありますが、問題ありとする線引きが難しいところです。

 

考察

ここからは私の考察を書かせていただきますが、いち専門家の考えというのは客観的な証明力が弱いとされているため、参考程度に読んでいただければと思います。

 

怪我への影響

スポーツによる負荷が蓄積することで骨にも炎症や腫れといった症状が表れることがあり、骨髄浮腫が膝痛の隠れた原因になっている事例もあるのかもしれません。

膝の痛み

しかし、健康的な人にも骨髄浮腫があることは珍しいことではなく、これ自体が大きな問題になるわけではありません。

骨髄浮腫に限らず、スポーツ選手は微少な損傷を抱えていることは珍しいことではなく、痛みも運動制限も何ら問題がないことも多いです。

サッカーにおける半月板損傷のメカニズム

 

疲労の蓄積、慢性的な負荷によって回復が追いつかない場合には怪我や痛みへとつながる可能性があるということには注意しておいたほうがいいかもしれません。

骨髄浮腫はレントゲンやCTスキャンでは発見しにくいと言われることがあり、MRIでの診断のほうが精度が高いようです

詳しい怪我の診断については整形外科医や放射線技師の先生方の判断になるかと思います。

 

骨髄浮腫への対処方法

骨髄浮腫への対策は基本的に物理的負荷をコントロールすることと、骨の修復能力を高めることになるかと思います。

 

練習量が多くなりすぎないように注意する、身体のバランスを整える、筋肉をバランスよく鍛える、インソールの処方などで脚にかかる物理的な負荷をマネジメントしやすくなるかと思います。

 

そして、骨の修復能力を高めるには十分な休養を取る、栄養を摂取する、睡眠を確保するといったところも役に立つかと思います。

疲労骨折と食事睡眠運動などの生活習慣の関係

疲労骨折と栄養不足による影響について

 

まとめ

スポーツの負荷によって知らず知らずのうちに骨にもダメージが蓄積されることがあるかと思います。

身体のケアやトレーニングなどによって大きな怪我になる前に上手にマネジメントすることが大事ではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Akhavan S, Martinkovich SC, Kasik C, DeMeo PJ. Bone Marrow Edema, Clinical Significance, and Treatment Options: A Review. J Am Acad Orthop Surg. 2020;28(20):e888-e899. doi:10.5435/JAAOS-D-20-00142
  2. Major NM. Role of MRI in Prevention of Metatarsal Stress Fractures in Collegiate Basketball Players. American Journal of Roentgenology. Published online November 23, 2012. doi:10.2214/AJR.04.1275
  3. Vanhoenacker FM, Snoeckx A. Bone marrow edema in sports: general concepts. Eur J Radiol. 2007;62(1):6-15. doi:10.1016/j.ejrad.2007.01.013
  4. Trappeniers L, De Maeseneer M, De Ridder F, et al. Can bone marrow edema be seen on STIR images of the ankle and foot after 1 week of running? European Journal of Radiology. 2003;47(1):25-28. doi:10.1016/S0720-048X(02)00221-8
  5. Kornaat PR, Van de Velde SK. Bone marrow edema lesions in the professional runner. Am J Sports Med. 2014;42(5):1242-1246. doi:10.1177/0363546514521990
  6. Schweitzer ME, White LM. Does altered biomechanics cause marrow edema? Radiology. 1996;198(3):851-853. doi:10.1148/radiology.198.3.8628882
  7. Bezuglov E, Khaitin V, Lazarev A, et al. Asymptomatic Foot and Ankle Abnormalities in Elite Professional Soccer Players. Orthop J Sports Med. 2021;9(1):2325967120979994. doi:10.1177/2325967120979994
  8. Matiotti SB, Soder RB, Becker RG, Santos FS, Baldisserotto M. MRI of the knees in asymptomatic adolescent soccer players: A case-control study. J Magn Reson Imaging. 2017;45(1):59-65. doi:10.1002/jmri.25329
  9. Kornaat PR, de Jonge MC, Maas M. Bone marrow edema-like signal in the athlete. Eur J Radiol. 2008;67(1):49-53. doi:10.1016/j.ejrad.2008.01.057
  10. Felson DT, Chaisson CE, Hill CL, et al. The Association of Bone Marrow Lesions with Pain in Knee Osteoarthritis. :9.
  11. Koo K-H, Ahn I-O, Kim R, et al. Bone Marrow Edema and Associated Pain in Early Stage Osteonecrosis of the Femoral Head: Prospective Study with Serial MR Images. Radiology. 1999;213(3):715-722. doi:10.1148/radiology.213.3.r99dc06715
  12. Link TM, Steinbach LS, Ghosh S, et al. Osteoarthritis: MR Imaging Findings in Different Stages of Disease and Correlation with Clinical Findings. Radiology. 2003;226(2):373-381. doi:10.1148/radiol.2262012190
  13. Phan CM, Link TM, Blumenkrantz G, et al. MR imaging findings in the follow-up of patients with different stages of knee osteoarthritis and the correlation with clinical symptoms. Eur Radiol. 2006;16(3):608-618. doi:10.1007/s00330-005-0004-5
  14. Kornaat PR, Bloem JL, Ceulemans RYT, et al. Osteoarthritis of the Knee: Association between Clinical Features and MR Imaging Findings. Radiology. 2006;239(3):811-817. doi:10.1148/radiol.2393050253
  15. Karantanas AH, Nikolakopoulos I, Korompilias AV, Apostolaki E, Skoulikaris N, Eracleous E. Regional migratory osteoporosis in the knee: MRI findings in 22 patients and review of the literature. Eur J Radiol. 2008;67(1):34-41. doi:10.1016/j.ejrad.2008.01.054

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