変形性股関節症 股関節インピンジメント

股関節の骨格異常と変形性股関節症について

股関節インピンジメントや股関節の骨の形状の変化には様々な種類があります。こういった骨の変化が股関節に影響を及ぼし、変形性股関節症などの怪我に繋がってしまうことがあります。ひどい場合には人工股関節などの手術をしなければいけないなどの場合があり、股関節の機能を高めてこういったことを予防することが大切になってきます。

 

ポイント

  • 股関節の骨の形状の変化により負荷がかかりやすくなることがあります
  • 股関節インピンジメントや寛骨臼形成不全などにより変形性股関節症のリスクが高まることがあります
  • ものによっては変形性股関節症のリスクをそこまで高めないものもあるようです

 

股関節インピンジメント

股関節に負荷がかかり続ける事で股関節インピンジメントを発症することがあります。股関節インピンジメントは主にPincer deformityとCam deformityと呼ばれるもの、あるいはこれらが組み合わさったものがあります。

Pincer deformityと変形性股関節症

Pincer deformityは変形性股関節症にあまり影響しないのではないか?という意見があります。

 

参照https://eorthopod.com/femoroacetabular-impingement/

  • 720名を対象として5年後の発症率を調べたところ相関関係がなかったという研究報告があります
  • 変形性股関節症のリスクを高めるとする研究結果もあれば2、そうでないとする研究結果もあり3・4、明確な結論は出てないようです。

骨の形が変形しているのだから変形性股関節症につながってもおかしくないような気もしますが、これは議論が分かれているようです。

Pincer deformityは骨を覆うような形になるため、股関節を不安定にさせるものではないのではないか?ということがひとつの理由として考えられます。

 

Cam deformityと変形性股関節症

Cam defomityは変形性股関節症などへと繋がる可能性があります。

参照http://arthrohealth.ypo.pw/cam-impingement/

  • 4000名を超える人達を対象に約10年近く追跡したところ、Cam defomityを持っていた人たちはそうでない人達に比べて変形性股関節症を発症する傾向にあったそうです
  • 他の研究で約1000名を20年間追跡したところ、人工股関節の手術を受けた人とCam deformityに相関関係がみられたそうです3
  • こうしたことを裏付けるかのうように、Cam deformityは股関節への負荷を増加させるという研究結果があります5
  • 股関節への負荷を高める理由として考えられているのが、関節が不安定になること、そして接触面積が小さくなり負荷が集中しやすい可能性があるようです
  • こうした骨の形状や周辺組織の変化などにより、フルスクワット時において股関節インピンジメントを発症している人のほうが股関節への負荷が高いという研究結果があります

有限要素法による股関節インピンジメントとスクワットの負荷の解析

(Ng et al 2012より引用)

このように高い負荷がかかり続ければ、変形性股関節症などの怪我へとつながることが考えられますね。

 

寛骨臼形成不全と変形性股関節症

寛骨臼形成不全(acetabular dysplasia)があることで股関節の怪我に繋がりやすくなってしまいます。


参照https://hipdysplasia.org/adult-hip-dysplasia/

  • 寛骨臼形成不全は変形性股関節症と相関関係が高いという報告があります1・4
  • そして寛骨臼形成不全がある場合には歩行時や階段の上り下りをする時に、数倍の負荷が股関節にかかっているという研究結果があります。これは股関節の形状により股関節の接触の仕方が変わってしまうため、歩行時や階段を登るなどの動作で股関節への負荷が増すようです。

寛骨臼形成不全と股関節への負荷

(Henak et al 2014より引用)

このように日常生活の動作でより高い負荷がかかり続ければ、変形性股関節症などを発症しやすくなってしまうことが考えられます。

手術で股関節の形状を整えて接触の負荷を軽減することも考えられますが、周辺組織を削りすぎると今度は衝撃吸収能力が低下するという心配もあります。手術をするかどうかは術式などの色々な要素がありますので、このあたりは整形外科医による専門家の判断になるかと思います。

いずれにしても、身体の負荷を高めてしまうような要因は改善していきたいところです。

 

まとめ

股関節の骨の形状の変化があることで身体への負荷が高まり、怪我のリスクが高まってしまう場合があります。日々のケアや股関節の機能を高めるようなエクササイズに取り組み、怪我を予防することが大事になってくるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Agricola R, Heijboer MP, Roze RH, et al. Pincer deformity does not lead to osteoarthritis of the hip whereas acetabular dysplasia does: acetabular coverage and development of osteoarthritis in a nationwide prospective cohort study (CHECK). Osteoarthr Cartil. 2013;21(10):1514-1521.
  2. Gosvig KK, Jacobsen S, Sonne-Holm S, Palm H, Troelsen A. Prevalence of malformations of the hip joint and their relationship to sex, groin pain, and risk of osteoarthritis: a population-based survey. J Bone Joint Surg Am. 2010;92(5):1162-1169.
  3. Nicholls AS, Kiran A, Pollard TCB, et al. The association between hip morphology parameters and nineteen-year risk of end-stage osteoarthritis of the hip: a nested case-control study. Arthritis Rheum. 2011;63(11):3392-3400.
  4. Hosnijeh FS, Zuiderwijk ME, Versteeg M, et al. Cam Deformity and Acetabular Dysplasia as Risk Factors for Hip Osteoarthritis. Arthritis & Rheumatology. 2017;69(1):86-93.
  5. Ng KCG, Lamontagne M, Labrosse MR, Beaulé PE. Hip Joint Stresses Due to Cam-Type Femoroacetabular Impingement: A Systematic Review of Finite Element Simulations. PLoS ONE. 2016;11(1):e0147813.
  6. Chegini S, Beck M, Ferguson SJ. The effects of impingement and dysplasia on stress distributions in the hip joint during sitting and walking: a finite element analysis. J Orthop Res. 2009;27(2):195-201.
  7. Ng KCG, Rouhi G, Lamontagne M, Beaulé PE. Finite Element Analysis Examining the Effects of Cam FAI on Hip Joint Mechanical Loading Using Subject-Specific Geometries During Standing and Maximum Squat. HSS J. 2012;8(3):206-212.
  8. Henak CR, Abraham CL, Anderson AE, et al. Patient-specific analysis of cartilage and labrum mechanics in human hips with acetabular dysplasia. Osteoarthr Cartil. 2014;22(2):210-217.

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