腰痛

野球のピッチャーの腰痛の原因と対策

2022年9月24日

野球ピッチャー

野球のピッチング動作は腰に負担のかかりやすい性質があり、野球選手の腰痛は珍しくありません。

ここで腰痛につながりやすい投球フォームや、腰痛の対処の基本的な考え方などについて紹介していきたいと思います。

 

腰痛につながりやすい投球フォーム

投球フォーム次第では腰への負荷が大きくなる可能性があります。

例えば腰を大きく動かすような動き、腰を過剰に反ってしまう動き、胴体を捻りすぎる投球フォームなど、体幹部を大きく動かすような動きは腰に大きなストレスがかかります

ピッチャー投球動作

ピッチング動作は全身の動きが連動して行われるものであり、下半身でパワーを生み出してそれを手先に伝えることが重要です。

この時に力をスムーズに伝達できず、投球動作において体幹の回旋のタイミングのズレなどが腰痛につながりやすい投球フォームであると考えられています

⇨体幹部の回旋動作のタイミングとピッチャーの投球動作

ピッチャー

そして腰痛を抱えているピッチャーは肘を痛めやすいことが報告されているなど

腰だけの問題にとどまらず、身体の全体の痛みや故障へと関わってくる可能性も考えられます。

 

ピッチャーの筋力と腰痛

体幹の筋力不足はピッチャーの腰痛の原因へとつながります1・3

特に腹斜筋など細かい体幹の筋肉が十分に鍛えられていないケースが珍しくありません。腹斜筋の解剖図

たとえ腹筋がバキバキに割れていたとしても、手足を動かした時に腰が反ってしまうクセがあるなどする場合には体幹の筋肉をうまく使えていない可能性があります

普段からトレーニングしている野球選手であったとしても、ウェイトトレーニングのやりすぎによる腰痛も珍しくありません。

デッドリフト

投球動作における足腰の重要性が言われており、高重量のスクワットやデッドリフトなどで足腰を鍛えている人も多いことかと思います。

しかし、ウェイトトレーニング時に腰が反ったり、体幹の筋力が十分でない場合などにはウェイトトレーニングをやり過ぎてしまうと腰痛へとつながりやすくなります。

 

ピッチャーの柔軟性と腰痛

ピッチャーの可動域の低下は腰痛につながる可能性が考えられます。

ピッチャーは体幹部の可動域に左右差が生まれやすい傾向がありますし、肩の可動域の低下が腰痛のリスクであるという研究結果もあります

野球ピッチャー

ピッチング動作は全身運動であり、骨盤や股関節周りの可動域低下もピッチャーの腰痛につながる可能性があります。

ハムストリングスが硬い、股関節の内旋の可動域の低下などがピッチャーの腰痛に関係していることが報告されています5・6

⇨股関節の可動域低下とピッチャーの投球動作への影響

 

対策について

野球選手の軽い腰痛ならば早めに対策をすることで解決しやすいと思いますが、腰痛を抱えたまま長い期間野球を続けてしまうと椎間板ヘルニアや腰椎分離症などへと発展する可能性があります。

成長期の野球選手は腰椎分離症を発症しやすいことが報告されていて、ひとたび腰椎分離症が発症してしまうとスポーツに復帰するのに数ヶ月かかることも珍しくありません。

このため症状の軽いうちに適切な対応で早めに解決しておくことが大切です。

 

ストレッチやマッサージなど

ハムストリングスのストレッチ

軽い腰痛ならば体幹部や股関節周りのストレッチをすることで、腰痛の症状が改善することが多いことかと思います。

レントゲンやMRIなどで異常がみられない、繰り返しの投球やトレーニングによって疲労がたまって腰痛になっている場合などにストレッチが効果を発揮しやすい傾向があります。

腰のストレッチ

しかし、体幹部のストレッチは腰を大きく捻るものが多く、腰や体幹部のストレッチをやりすぎてしまうと腰の負荷へとつながってしまう可能性があります。

ストレッチに不安を感じる場合には、腰を捻る必要性の少ないマッサージや筋膜リリースなどで腰や股関節をほぐしたほうが安全であるかと思います。

疲労回復やコンディションを整えるためにマッサージや整体などを利用するのも選択肢のひとつで、専属の専門家がいるプロ野球選手も珍しくないかと思います。

 

腰痛防止のトレーニング

腰痛防止のためのトレーニングは様々なものが紹介されています。

こういったトレーニングで体幹を鍛えることで腰痛を予防する効果があり、取り組む価値があるものだと思います。

 

体幹トレーニングの多くは腰痛の抱えていない健康な人を対象としたものであり、腰痛が起きる前に体幹トレーニングを行うことが大切です。

しかし実際に腰痛を抱えてしまった場合には、通常の体幹トレーニングでは負荷が大きすぎて腰痛を悪化させてしまう可能性があります。

腰痛を抱えた人の体幹トレーニングはやり方が少し違ってくるので、注意が必要です。

⇨腰痛の整体施術とトレーニング

 

まとめ

野球の投球動作は体幹部を大きく捻るなど腰に負担がかかりやすい傾向があり、投球フォームの乱れや可動域の低下、筋力不足などがピッチャーの腰痛へとつながる可能性があります。

 

<参考文献>

  1. Wasser JG, Zaremski JL, Herman DC, Vincent HK. Prevalence and proposed mechanisms of chronic low back pain in baseball: part i. Res Sports Med. 2017 Apr-Jun;25(2):219-230. doi: 10.1080/15438627.2017.1282361. Epub 2017 Jan 27. PMID: 28128007; PMCID: PMC5480289.
  2. Sekiguchi T, Hagiwara Y, Momma H, Tsuchiya M, Kuroki K, Kanazawa K, Yabe Y, Koide M, Itaya N, Itoi E, Nagatomi R. Youth baseball players with elbow and shoulder pain have both low back and knee pain: a cross-sectional study. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2018 Jul;26(7):1927-1935. doi: 10.1007/s00167-016-4364-y. Epub 2016 Oct 22. PMID: 27771737.
  3. Watanabe Y, Kato K, Otoshi K, Tominaga R, Kaga T, Igari T, Sato R, Oi N, Konno SI. Associations between core stability and low back pain in high school baseball players: A cross-sectional study. J Orthop Sci. 2022 Sep;27(5):965-970. doi: 10.1016/j.jos.2021.05.010. Epub 2021 Jun 22. PMID: 34167867.
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  5. Kato K, Otoshi KI, Tominaga R, Kaga T, Igari T, Sato R, Konno SI. Influences of limited flexibility of the lower extremities and occurrence of low back pain in adolescent baseball players: A prospective cohort study. J Orthop Sci. 2022 Mar;27(2):355-359. doi: 10.1016/j.jos.2021.01.008. Epub 2021 Feb 25. PMID: 33640222.
  6. Kato K, Otoshi KI, Tominaga R, Kaga T, Igari T, Sato R, Konno SI. The prevalence and clinical characteristics of sacroiliac joint dysfunction in adolescent baseball players. J Orthop Sci. 2022 Mar;27(2):335-341. doi: 10.1016/j.jos.2021.01.011. Epub 2021 Mar 7. PMID: 33750607.
  7. Wasser JG, Zaremski JL, Herman DC, Vincent HK. Assessment and rehabilitation of chronic low back pain in baseball: part II. Res Sports Med. 2017 Apr-Jun;25(2):231-243. doi: 10.1080/15438627.2017.1282362. Epub 2017 Jan 27. PMID: 28128000; PMCID: PMC5504913.

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