野球肘

ピッチャーの肘の骨密度と怪我の関係について

投球数が増えてくると身体にダメージが蓄積していき、ピッチャーは怪我をしやすくなっていきます。

肘の骨も投球数が増えることで徐々に変化していきますが、これがどのように怪我に関係しているのか?文献を交えながらご紹介していきたいと思います。

 

ポイント

  • ピッチャーは繰り返しの投球によって骨密度が変化していき、怪我をしたピッチャーは骨密度が高いようです。
  • 肘の関節が緩かったりすると骨の接触の仕方が変わり、骨への負荷が高まる可能性もあります。
  • 怪我のないピッチャーも骨密度が高く、どこからが異常なのか明確な線引きは難しいようです。

 

ピッチャーの肘の骨密度

ピッチャーの肘の骨密度は高い傾向があり、ピッチングの繰り返しの動作で骨が変化していきます。

(Momma et al 2018より引用)

  • 肘の手術をしているピッチャーは肘まわりの上腕骨や尺骨の前面のより広い範囲で骨密度が高かったことが報告されています
  • プロのピッチャーは大学生のピッチャーよりも肘関節のより広い範囲で骨密度が高いことが報告されています2・
  • ピッチャーは利き腕の肘周りの骨密度が高い傾向にあることが報告されています3・4

繰り返しの投球動作によって骨に負荷がかかっていて、これに骨が適応して骨密度が高くなっていると考えられます。

骨密度が高いこと自体は問題ではありませんが、どのくらいの負荷がかかっているかを表している面もあるのかもしれません。

 

靭帯の緩さと骨への負荷

肘の靭帯の緩さ次第で肘の骨の接触の仕方が変わることが報告されています5・6

このことから肘の状態が悪かったりすると、骨にも影響を及ぼす可能性が考えられます。

肘内側側副靱帯

ピッチャーの肘の靭帯の緩さと肘の骨の骨密度の関係を直接調べた研究はないので、あくまで可能性の話にすぎませんが。

 

骨の状態と怪我のリスク

適正な範囲内で骨が適応するのは問題なく、過剰になってしまうと悪影響が出る可能性があります。

しかし、骨の状態は将来の怪我のリスクと関わっているかというと、線引きが難しく明確に言えない部分があります。

野球ピッチャー

  • 投球数が多いと骨の異常が増える傾向にあるという研究結果があります
  • 一方である一定時点での骨の状態は将来の怪我のリスクと関係していないという研究結果もあります

投球数が増えてくると骨も変化しやすくなってきますが、どこからが異常でリスクがあるのか?というのは明確に線引きできるものではないかもしません。

ピッチャーの投げすぎによる骨棘形成と怪我のリスク

 

まとめ

繰り返しのピッチング動作によって肘周りの骨に変化が生じることがありますが、骨の状態から将来の怪我のリスクを判断するのは簡単ではなさそうです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Funakoshi T, Furushima K, Momma D, et al. Alteration of Stress Distribution Patterns in Symptomatic Valgus Instability of the Elbow in Baseball Players: A Computed Tomography Osteoabsorptiometry Study. Am J Sports Med. 2016;44(4):989-994. doi:10.1177/0363546515624916
  2. Momma D, Funakoshi T, Endo K, Yokota M, Fujisaki K, Iwasaki N. Alteration in stress distribution patterns through the elbow joint in professional and college baseball pitchers: Using computed tomography osteoabsorptiometry. J Orthop Sci. 2018;23(6):948-952. doi:10.1016/j.jos.2018.06.006
  3. Sada K, Chiba K, Kajiyama S, et al. Bone Mineral Density and Microstructure of the Elbow in Baseball Pitchers: An Analysis by Second-Generation HR-pQCT. J Clin Densitom. 2020;23(2):322-328. doi:10.1016/j.jocd.2019.03.001
  4. Mommma D, Iwasaki N, Oizumi N, et al. Long-Term Stress Distribution Patterns Across the Elbow Joint in Baseball Players Assessed by Computed Tomography Osteoabsorptiometry. Am J Sports Med. 2011;39(2):336-341. doi:10.1177/0363546510383487
  5. Hassan SE, Parks BG, Douoguih WA, Osbahr DC. Effect of distal ulnar collateral ligament tear pattern on contact forces and valgus stability in the posteromedial compartment of the elbow. Am J Sports Med. 2015;43(2):447-452. doi:10.1177/0363546514557239
  6. Ahmad CS, Park MC, Elattrache NS. Elbow medial ulnar collateral ligament insufficiency alters posteromedial olecranon contact. Am J Sports Med. 2004;32(7):1607-1612. doi:10.1177/0363546503263149
  7. Wright RW, Steger-May K, Klein SE. Radiographic findings in the shoulder and elbow of Major League Baseball pitchers. Am J Sports Med. 2007;35(11):1839-1843. doi:10.1177/0363546507304493
  8. Gutierrez NM, Granville C, Kaplan L, Baraga M, Jose J. Elbow MRI Findings Do Not Correlate With Future Placement on the Disabled List in Asymptomatic Professional Baseball Pitchers. Sports Health. 2017;9(3):222-229. doi:10.1177/1941738117701769

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