股関節唇損傷 股関節インピンジメント

バレエのターンアウトと怪我のリスク

バレエダンサーには大きな可動域が求められますが、柔軟性を確保するためにストレッチをやりすぎて怪我をしてしまうことが絶えず、怪我でバレエをやめていく人も珍しくありません。

ここでバレエの中でもターンアウトに求められる可動域や動きの性質、そして考えられる怪我のリスクなどをご紹介していきたいと思います。

 

ポイント

  • バレエダンサーの股関節外旋の可動域は約50°というデータがあります。
  • ターンアウトをするには約140°の外旋の可動域が必要で、膝や足などの代償動作が生まれやすい性質があります。
  • 怪我をしているバレエダンサーほど代償動作が大きい傾向にあるようです。

 

バレエダンサーの股関節外旋の可動域

バレエダンサーの身体はとても柔らかい印象がありますが、そこには意外なメカニズムが隠されていることがあります。

バレエダンサーの股関節の可動域

  • バレエダンサーは通常よりも大きな股関節外旋の可動域を有していて、一方で普通の人よりも股関節の内旋の可動域は小さかったという研究結果があります1・2。これはバレエダンサーが軟体人間になったというよりも、股関節の骨の位置をズラして競技に適した骨のポジションにしているに過ぎないような印象を受けます。
  • 股関節の内旋と外旋を合わせた可動域はバレエダンサーのほうが約6°ほど大きかったという研究結果があります
  • 膝や足部における外旋の可動域に大きな差はみられなかったそうです

こうしたデータをみると努力によって股関節の可動域を変化させているに過ぎず、繰り返しのストレッチなどで超人的な可動域を得ることの難しさが伝わってきます。

もちろん、上記には当てはまらないような生まれつきの身体の柔らかさを持った人達もいることでしょう。

 

バレエのターンアウト

バレエには様々な動作がありますが、その中でもターンアウトに関する研究についてご紹介していきたいと思います。

 

ターンアウトの可動域

バレエのターンアウトには大きな可動域が求められますが、そう簡単に達成できるものではありません。

バレエのターンアウト

  • 研究でターンアウトを調べたところ、股関節の外旋から約4割、膝関節の外旋から約3割、残りは足や骨格的要素などの他の要素から可動域を確保しているようです3・4
  • 一般的にターンアウトには130〜140°の外旋が必要なのですが、バレエダンサーでも股関節の外旋は平均で約50°しか獲得できておらず、それ以外の部分からどうにかして可動域を確保する必要性が出てきます

このように股関節の可動域の改善には限界があるにもかかわらず、それを上回るような可動域を要求されてしまうことがあるわけです。

 

ターンアウト時の代償動作

股関節の可動域が低い状態で無理にターンアウトをしようとすると代償動作が生まれやすくなります。

(Carter et al 2018)

  • 股関節の外旋の可動域が低下している人が無理にターンアウトをしようとすると足部のプロネーションや膝の外旋などの代償動作を引き起こす傾向があります5・8
  • 怪我をしているバレエダンサーほうがターンアウトの代償動作が大きかったことが報告されています6・9
  • またターンアウトに伴って腰や骨盤が反ったりするという代償動作もあり、腰に負荷がかかり腰痛へとつながる可能性も考えられています

このように無理なターンアウトは姿勢を乱し、身体への負荷へとつながるわけです。

 

柔軟性の改善方法について

闇雲にストレッチをすることで負荷が集中してしまい身体を痛めてしまう可能性があるため、必要なところにピンポイントで届けるところが大切になってきます。

股関節の可動域が低いのか、あるいは他の身体の部分で補えるところはないか?見極めていくことも役に立つかもしれません。

 

また、身体のほぐし方に工夫を加えることで怪我を防ぎつつ、可動域をアップさせる可能性もあるかと思います。

詳しくは次の記事をご覧ください。

怪我のリスクを抑えつつ可動域をあげるヒント

 

まとめ

バレエのターンアウトには大きな可動域が求められますが、股関節の可動域が低い人が無理にターンアウトをしようとすると代償動作が生まれやすく、身体への負荷へとつながる可能性があります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Khan K, Roberts P, Nattrass C, et al. Hip and ankle range of motion in elite classical ballet dancers and controls. Clin J Sport Med. 1997;7(3):174-179. doi:10.1097/00042752-199707000-00004
  2. Hamilton WG, Hamilton LH, Marshall P, Molnar M. A profile of the musculoskeletal characteristics of elite professional ballet dancers. Am J Sports Med. 1992;20(3):267-273. doi:10.1177/036354659202000306
  3. Quanbeck AE, Russell JA, Handley SC, Quanbeck DS. Kinematic analysis of hip and knee rotation and other contributors to ballet turnout. J Sports Sci. 2017;35(4):331-338. doi:10.1080/02640414.2016.1164335
  4. Khoo-Summers LC, Prather H, Hunt DM, Van Dillen LR. Predictors of first position turnout in collegiate dancers: the role of tibiofemoral external rotation and hip external rotation. Am J Phys Med Rehabil. 2013;92(2):136-142. doi:10.1097/PHM.0b013e3182465dff
  5. Carter SL, Duncan R, Weidemann AL, Hopper LS. Lower leg and foot contributions to turnout in female pre-professional dancers: A 3D kinematic analysis. J Sports Sci. 2018;36(19):2217-2225. doi:10.1080/02640414.2018.1446386
  6. Coplan JA. Ballet dancer’s turnout and its relationship to self-reported injury. J Orthop Sports Phys Ther. 2002;32(11):579-584. doi:10.2519/jospt.2002.32.11.579
  7. Jones P, Sparkes V. Lumbar and Pelvis Posture Changes Due to the Degree of Turnout in Ballet Dancers. 2017;1(1):2.
  8. Kaufmann J-E, Nelissen RGHH, Exner-Grave E, Gademan MGJ. Does forced or compensated turnout lead to musculoskeletal injuries in dancers? A systematic review on the complexity of causes. J Biomech. 2021;114:110084. doi:10.1016/j.jbiomech.2020.110084
  9. Jenkins JB, Wyon M, Nevill A. Can turnout measurements be used to predict physiotherapist-reported injury rates in dancers? Med Probl Perform Art. 2013;28(4):230-235.
  10. Khan KM, Bennell K, Ng S, et al. Can 16-18-year-old elite ballet dancers improve their hip and ankle range of motion over a 12-month period? Clin J Sport Med. 2000;10(2):98-103. doi:10.1097/00042752-200004000-00003

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