腰痛のメカニズム

腰痛防止のための脊柱起立筋のトレーニング

脊柱起立筋は背中にある大きな筋肉であり、腰痛防止や体幹部のコントロールに大きく関わってくる筋肉です。

この筋肉を鍛える時には背中が反りすぎたりすることで身体への負荷が高まってしまう可能性があるため、身体に負荷がかからないトレーニング方法を知ることが怪我予防などに役に立つかと思います。

 

脊柱起立筋の役割

脊柱起立筋はその名前のとおり背中を起立するように反る動きがその機能であると一般的に考えられています。

脊柱起立筋の解剖図

 

パフォーマンスとの関係

脊柱起立筋は手足を動かす動作にも関わっており脊柱起立筋と足の速さには相関関係があるそうです

スプリント

また投球動作やスイング動作にも関わっており、力強い選手は背中が発達していることが多いと言われています。

 

怪我予防との関係

腰痛防止の観点でいえば、脊柱起立筋は脊柱を前方に移動させる負荷(剪断力)を和らげる役割があります。重いものを持ち上げるときやバーベルを担いでスクワットをするときなどにこういった負荷が腰にかかりやすいので、脊柱起立筋を鍛えることは腰を守るために役に立つ可能性があります。

脊柱の前方への剪断力

参照https://www.strongfirst.com/optimizing-back-health-with-the-kettlebell-swing/

 

脊柱起立筋のメカニズムと注意点

脊柱起立筋はとても大事な筋肉なのですが、その性質をうまく理解できずに腰を痛めてしまうことが珍しくありません。

ここで脊柱起立筋に関するよくある議論について説明していきたいと思います。

 

背中が丸まった姿勢

次の図のように背中を丸めた状態では脊柱起立筋の力が働く方向が変化し、脊柱起立筋の腰を守る機能が低下してしまいます。

背中を丸めた状態での脊柱起立筋の断面図 脊柱起立筋と背中を反った姿勢での筋肉の断面図

(McGill et al 2000より引用)

背中を丸めた状態で重いものを持つと腰痛のリスクが高まる理由のひとつと考えられています

またウェイトトレーニングの際に背中が丸まったフォームが良くないのは、こういった理由だと思います。

 

持久力について

脊柱起立筋もその役割を最大限に発揮するためには筋力を高めた方がいいという発想があるかと思います。

脊柱起立筋は筋力を鍛えるよりも持久力を鍛えた方が腰痛防止の効果が高い傾向にあります。まずは反復回数や時間を目安として鍛えていくことが大事です。

持久力がついてから徐々に筋力をつけていくことが望ましいと考えられています。

腰痛防止における持久力の重要性について

 

腰を反るエクササイズの賛否

腰痛を持っている人には腰を反る動作を伴うエクササイズあまりオススメできません。とある研究によると腰痛防止のための目安である3400Nを大きく超える6000Nの負荷が腰にかかってしまいます

背筋のエクササイズ

確かに腰を反ったほうが脊柱起立筋により効かせることができるかもしれませんが、腰の負担が大きすぎてリスクに見合ったほどの成果を得られるかというと微妙なところです。

エクササイズの性質を理解して脊柱起立筋をより安全に鍛えることが大事になってきます。

 

脊柱起立筋のエクササイズ

腰痛を持っている人は背中を反らないエクササイズから始めることをオススメしており、これによって腰に過度な負荷がかかるのを防ぐことができます。

 

Bird dogエクササイズ

こちらのエクササイズは腰にあまり大きな負荷がかからずに鍛えることができます。一番のメリットは色々な筋肉をバランス良く鍛えることができる点です。脊柱起立筋を鍛えるというよりも総合的に鍛えるという意味合いのほうが強いかもしれませんね。

四つん這いの姿勢になり、手は肩の真下、膝はお尻の真下におきましょう。その状態から対角線上の手足を同時に伸ばすようにゆっくりと挙げ下げします。

エクササイズを実施するときのポイントとして

  • 腰はできるだけニュートラルに保ち、腰を反ったりしないように気をつけましょう。
    手足を挙げるときに骨盤が斜めに傾いたりしないように、骨盤はできるだけ水平を保ちなかがら行いましょう。
  • 身体がぐらつかないようにすることが大事なので、体幹部や下腹部にぐっと力を入れながら行いましょう。

 

Bird dog 中級エクササイズ

通常のエクササイズがうまくできるようになったら色々なバリエーションを行なっていきます。

エクササイズを実施するときのポイントとして、

  • 手足の位置を少し遠くすることでエクササイズの負荷が高まります。

  • 手足の動かし方などでもエクササイズの負荷を高めることができます。

  • 身体がぐらつかないようにすることが大事で、身体がぐらつくようであれば負荷を下げて鍛えることが重要です。負荷よりも正しいフォームで行えていることが重要です。

ウェイトトレーニング

ウェイトトレーニングでは脊柱起立筋が腰を守るためにとても重要です。

負荷の軽いトレーニングから始めていき、脊柱起立筋が十分に鍛えられてからウェイトトレーニングなどのエクササイズに移っていきましょう。

ウェイトトレーニングでは脊柱起立筋に負荷がかかる種目が多いため、すでに脊柱起立筋や腰が酷使されています。

ウェイトトレーニングにおいても腰を反りすぎるような姿勢は腰に著しい負荷がかかるので、トレーニング時のフォームには注意が必要です。

ウェイトトレーニングに取り組んでいる人が補助的に脊柱起立筋のエクササイズをするのであれば、やはり上記のような腰を反らないエクササイズが大事で、腰を痛める可能性が低いエクササイズで少しずつ補強したほうがいいかと思います。

 

まとめ

脊柱起立筋はあらゆるスポーツ、そしてウェイトトレーニングに欠かせない筋肉です。

脊柱起立筋のメカニズムを理解して、腰痛のリスクを下げながら高いパフォーマンスが得られるようなトレーニングができるといいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Kubo T, Hoshikawa Y, Muramatsu M, et al. Contribution of Trunk Muscularity on Sprint Run. Int J Sports Med. 2011;32(03):223-228.

  2. McGill SM, Hughson RL, Parks K. Changes in lumbar lordosis modify the role of the extensor muscles. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2000;15(10):777-780.

  3. Mcgill, Stuart. Low Back Disorders; Evidence-Based Prevention and Rehabilitation. Human Kinetics. 2015

  4. Carolyn Kisner, Lynn Allen Colby. Therapeutic Exercise: Foundations and Techniques. F.A. Davis Company; 5 edition

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