足の怪我のメカニズム

足首への負荷による神経筋の変化

足首の捻挫によって少なからず神経や筋活動に変化が生じることがあるようです。足首の痛み、腫れ、アライメントといった状態によっても身体の反応が変わってくることがあります。

 

ポイント

  • 痛みや不快感によって筋肉の反応速度が遅くなることがあるようです。
  • 足首の腫れによって身体を守るための特有の筋反射が生まれることがあります。
  • 足首の関節のアライメントによっても神経反射が変化することがあります。

 

足首の痛みによる反応速度への影響

痛みや不快感は足首周りの筋肉にも影響を与えることがあります。

麻酔

  • 捻挫を繰り返している人への痛み止めによって腓骨筋の反応速度が改善したという研究報告があります
  • 捻挫をしていない人への痛み止めは反応速度に変化はなかったようです
  • 捻挫を繰り返している人は反応が遅い傾向にあるようです

痛み止めを使うことの是非はともかく、痛みや不快感があることで神経などの反応に変化が出るのは何となく理解できるものがあるかと思います。

 

足首の腫れによる筋肉の変化

足首の腫れによっても神経や筋肉の反応が変わってくることがあります。

 

筋肉の反射

足首が腫れていることによって身体を守るための反射が引き起こされる可能性があります。

(Palmieri et al 2004より引用)

  • 足首に生理食塩水を注入して靭帯が腫れている状態を再現した実験では腫れによってH反射が促進されている傾向にあったようです
  • 具体的にはヒラメ筋、前脛骨筋、長腓骨筋の反応が促進されていたようです

このような筋肉の反射が促進されていると筋肉を働かせやすくなると考えられています。これによって身体を守るための筋肉を使いやすくなったりする可能性があります。

 

筋肉の活動量

足首の靭帯が腫れている状態が必ずしも筋肉の活動量を高めるわけではありません。

(Myers et al 2003より引用)

  • 下肢のステップ動作において長腓骨筋の活動量が低下していたことが報告されています4・5
  • ヒラメ筋の活動量に変化はみられなかったそうです
  • 前脛骨筋の活動量については研究によって違う結果が出ているようです4・5

動きによっては足首に負担がかかりすぎるために、筋肉の活動量を抑えるといった反応が出ることも考えられます。

いずれにしても神経の反応が促進されていても、姿勢や動作次第では必ずしも筋肉の活動量が増えるとは限らないようです。

 

足首のアライメント

捻挫をしていると足首のアライメントが乱れやすくなることがあり、これが神経や筋肉にも影響を及ぼす可能性も考えられます。

(Harkey et al 2014より引用)

捻挫を繰り返している人への足首のモビライゼーションでヒラメ筋や長腓骨筋のH反射や脊髄路の反射に変化はみられなかったという報告があります

 

(Grindstaff et al 2011より引用)

一方で長腓骨筋には変化がみられなかったものの、足首のモビライゼーションによってヒラメ筋のH反射が改善したという研究結果があります8。

 

それぞれの研究で異なる結果が出ていますが、足首のアライメントを整えるのは単純作業ではないために画一的な手技を用いて検証すれば結果にバラつきが生じやすいと考えられます。

再現性は高くないものの、うまく足首のアライメントを整えることで神経伝達が促進されて筋肉に力が入りやすくなるという現象は十分に起こりうるのではないかと個人的には思います。

 

まとめ

捻挫などによる足首への負荷によって神経や筋活動に変化が生じることがあります。足首を整えた上でエクササイズに取り組むことでこういった問題は解消されていくかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Khin-Myo-Hla null, Ishii T, Sakane M, Hayashi K. Effect of anesthesia of the sinus tarsi on peroneal reaction time in patients with functional instability of the ankle. Foot Ankle Int. 1999;20(9):554-559. doi:10.1177/107110079902000903
  2. Löfvenberg R, Kärrholm J, Sundelin G, Ahlgren O. Prolonged reaction time in patients with chronic lateral instability of the ankle. Am J Sports Med. 1995;23(4):414-417. doi:10.1177/036354659502300407
  3. Palmieri RM, Ingersoll CD, Hoffman MA, et al. Arthrogenic muscle response to a simulated ankle joint effusion. Br J Sports Med. 2004;38(1):26-30. doi:10.1136/bjsm.2002.001677
  4. Hopkins JT, Palmieri R. Effects of Ankle Joint Effusion on Lower Leg Function. Clinical Journal of Sport Medicine. 2004;14(1):1-7.
  5. Myers JB, Riemann BL, Hwang J-H, Fu FH, Lephart SM. Effect of peripheral afferent alteration of the lateral ankle ligaments on dynamic stability. Am J Sports Med. 2003;31(4):498-506. doi:10.1177/03635465030310040401
  6. Wikstrom EA, Hubbard TJ. Talar positional fault in persons with chronic ankle instability. Arch Phys Med Rehabil. 2010;91(8):1267-1271. doi:10.1016/j.apmr.2010.04.022
  7. Harkey M, McLeod M, Van Scoit A, et al. The immediate effects of an anterior-to-posterior talar mobilization on neural excitability, dorsiflexion range of motion, and dynamic balance in patients with chronic ankle instability. J Sport Rehabil. 2014;23(4):351-359. doi:10.1123/jsr.2013-0085
  8. Grindstaff TL, Beazell JR, Sauer LD, Magrum EM, Ingersoll CD, Hertel J. Immediate effects of a tibiofibular joint manipulation on lower extremity H-reflex measurements in individuals with chronic ankle instability. J Electromyogr Kinesiol. 2011;21(4):652-658. doi:10.1016/j.jelekin.2011.03.011

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