プライベート

アメリカのプロスポーツで働くことを夢見た日々

アメリカに渡ってアスレティックトレーナーとして活躍する醍醐味といえば、名門スポーツチームで働くことだと思います。

何を隠そう、私もアメリカの有名スポーツチームの仕事をゲットするぜ!と頑張っていた時期がありました。

いや、正確にいうと自分の心に嘘をついていて、みんながそこを目指しているからいつの間にか自分もそこを目指さないといけないと思い込んでいたのかもしれません。

 

いつの間にか初心を忘れてしまった日々

留学当初はプロスポーツで働きたい、なんて気持ちは微塵もありませんでした。

そんな理由でアメリカに渡ってきていません。

ですが、アスレティックトレーナーとして日々を過ごすうちに、プロスポーツチームで働いている諸先輩方の話を耳にして、

自分にもチャンスがあるのかなぁ〜、なんて目の前のチャンスに目が眩んでしまったのだと思います。

 

いつの間にかアスレティックトレーナーの知り合いと話すことは、キャリアの話ばかり、

誰々があのチームで働いている、どうやったらああなれるんだろうか?なんてくだらない話で盛り上がる。

留学当初は大量のメモを取り、現場で感じた疑問を大量に質問して学びを深めていたのに。

 

プロスポーツを目指した日々

プロスポーツチームで働くと注目されるし、なんだか気分が良さそうだし、発言力が大きくなるし、プロスポーツでやっていることが正しいみたいな雰囲気があるので、自分も見栄をはりたかったのかもしれません。

理由はなんであれ、自分もプロスポーツで働いてみたいなと漠然と思い、そのために頑張り始めました。

プロスポーツで仕事を得るためには、プロスポーツチームでインターンシップを経験していると有利に働くらしいよという噂があり、私も例に漏れずそういったものに応募しました。

プロスポーツチームでの本契約なんて公募されておらず、知り合いのコネクションがないとそもそも仕事に応募することすらできません。

 

ということでプロスポーツチームへのインターンへ申し込みをしましたが、結果は全滅。

プロスポーツチームのインターンシップなんて公に応募されていることはほとんどありません。

必死にインターンの求人を探して、ようやく1件だけ見つけてそれに応募して、落選。

そう、そもそもコネクションがないと応募すらできないのが現実でした。

 

応募すらできないのが現状だから、全てのプロスポーツチームに履歴書を送りつけて「インターンシップはありませんか?」と売り込む強者もいるくらいです。

そんなことをすると噂が広まり「迷惑だ」なんて声も聞こえてくらいですから、担当者のメールアドレスすら公開されていないプロスポーツチームがとても多いです。

とにかく応募すらできない、コンタクトすらとれない、それが現状でした。

 

プロスポーツチームの仕事やインターンシップを得るためには人脈がないと始まりません。

ということで、私も人脈づくりを頑張りました。

何かいい情報をくれないか?と教授に媚を売り、活躍している日本人の先輩を紹介してもらい連絡を取り、人脈を増やすためにコンベンションに行き名刺交換をし、

そんなことを頑張っていた時期があります。

他の人に気に入られることがとても重要で、みんなに好かれるような人物を目指さないといけませんでした。

明るく、気さくで、仕事もそこそこできるみたいな(笑)。

とにかく他人からの評価がとても重要でした。

 

運良く日本人向けのインターンシップがあり、テキサスレンジャーズで学ぶ機会に恵まれました。

しかし、この頃には何かが違うという違和感を強く抱いていました。

 

初心を取り戻す

プロスポーツでの仕事を得るために、他人からの評価ばかりを気にする生活をしていればメンタルはズタボロになっていきます。

いい人間だと思われるように無理に頑張るわけですから。

 

私の知人の言葉がとても印象に残っていて、

「アメリカに渡ってきて、先輩の日本人の接待ゴルフに行って、自分は一体何をしているんだろう?」

と、私だけでなく多くの人が気に入られるために必死に頑張っていたんだと思います。

 

今となっては人脈づくりなんてアホらしいことだったと思います。

プロスポーツで働きたいからとコネクション作りをしている若者がいたら、私は距離をとると思います。

そんな人間は腐るほどいて、表面的なことばかりの人間には魅力を感じません。

 

もしも私がプロスポーツの仕事を紹介する側だったのならば、

人脈づくりに必死な人よりも、高い技術力を持っている人よりも、

そのスポーツが大好きでたまらない人、練習をみているだけでも幸せな気分になれる人、

そんな人にチャンスを与えると思います。

 

でも私がやっていたことは本心を偽ってのご機嫌取り。

こんなバカなことはありません。

 

確かに人脈づくりも頑張り続ければいずれ結果を生むこともあるかもしれません。

頑張り続けたことで・・・ある日突然プロスポーツに採用された、なんて話が周りの知人にもありました。

 

プロスポーツで働きたくてアメリカに渡ってきたのならば、

それが人生において成し遂げたい大事な目標ならば、頑張り続ける価値があると思います。

しかし、私はそうではありません。地位やステータスに目が眩んでしまっていただけなのです。

私は怪我を改善する方法が知りたかったし、アメリカの最先端のスポーツ医学を学びたくて海を渡ったのです。

いつの間にか忘れてしまった初心をようやく思い出したのです。

 

捨てる神あれば拾う神あり

私に声をかけてくれた人がいました。

「夏休み暇だったらその時間で自分達の治療をしてよ」

と予想だにしない出来事が起こりました。

 

これまで自分なりに試行錯誤してきた技術の効果が良かったのでしょう。

想像以上に効果を発揮して定期的にお金をいただきながら治療することになりましたし、他にもお客さんを紹介していただけるようになりました。

ただ、それだけでは難しい症状もありました。

他のクリニックで改善できないようなものも次々と相談されるようになってきました。

その状況を打破したのは、私にチャンスを与えてくれた方の何気ない言葉でした。

その方の身体感覚は恐ろしいほどに研ぎ澄まされていて、次々と無理難題と思えるような的確なフィードバックを与えていただきました。

どうにかその声に応えようと試行錯誤しました。

それまで学んできた常識の外にあるようなアイディアもたくさん試しました。

ワークショップなどに大金をつぎ込んで色々な技術を学んでいたので、それらの技術を組み合わせてみたり、自分なりに噛み砕いて違う使い方を試したり、本当に色々なことを試しました。

気がついた時には、口コミでさらにお客さんがやってくるようになりました。そこそこの稼ぎになっていました。

他のクリニックでよくならないような症状も徐々に改善できるようになっていました。

将来の決断を迫られていた私はこっちの道がいいかもしれないと思うようになりました。

 

運命の分かれ道

その選択をしたことで、まだまだ暗かった私の表情を変える出来事が起こりました。

そう、今の奥さんとの出会いです。

まさかのデレデレパワーにより私の表情が徐々に蘇りました。

 

もしも私がプロスポーツに採用されていたのならば、

難しい怪我を治していくことも、今の奥さんに出会うこともなかったと思います。

人生は何が起こるのか本当にわかりませんが、

「捨てる神あれば拾う神あり」とはこのようなことを言うのかもしれません。

 

怪我でスポーツを諦める人を減らすために

今では人脈作りのためにイベントに参加することもなくなりました。

偉い人に気に入られるために「なんて素晴らしい方法なんですか!身体がめちゃくちゃ軽くなりました!」と嘘をつくこともなくなりました。

偽善者ぶるためにボランティア活動をすることはやめました。

今は本当の意味で、自分のやりたいことに向かって突き進んでいます。

 

どうしたらスポーツに復帰できるのだろうか?自分に何ができるのだろうか?ということをたくさん考えています。

怪我をしていてスポーツを諦めていたけれど、どうしてもスポーツがしたい!

そんな人達の熱意を感じながら仕事をしています。

スポーツを諦めかけていた人に希望の表情が浮かんでくるのを感じています。

そんな日々がとても幸せなことです。

地位や名誉を追い求め、他人からの評価ばかりを考えていた時には感じたことのないものです。

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