前十字靭帯損傷

脛骨の傾斜と前十字靭帯への負荷

前十字靭帯損傷には様々な要因が絡んでいますが、脛骨の傾斜も前十字靭帯損傷のリスクのひとつであると考えられています。傾斜が大きくなることで前十字靭帯への負荷が大きくなる傾向があり、前十字靭帯損傷をしやすくなると考えられています。

 

ポイント

  • 脛骨の前後の傾斜の角度によって前十字靭帯への負荷が高まる傾向にあるようです
  • 前十字靭帯再断裂した人達は脛骨の傾斜がわずかに大きい傾向にあるようです
  • 骨の形状は後天的に変えることが難しいため、エクササイズや動作の質の改善などに取り組んで予防していくことが大切かと思います

 

脛骨の傾斜と前十字靭帯への負荷

脛骨の前後の傾斜の角度によって前十字靭帯への負荷が変わってくる可能性があります。

(Shelburne et al 2011より引用)

ある研究では膝を少し曲げて体重を乗せた状態での前十字靭帯への負荷を調べたところ、脛骨の傾斜が大きいほど前十字靭帯への負荷も大きい傾向にあることが報告されています

 

(Giffin et al 2004より引用)

脛骨の傾斜があることで力の加わり方が変化し、脛骨を前方に移動させる力が発生しやすくなり、これが前十字靭帯への負荷が高まることが考えられます。

というのも前十字靭帯は主に脛骨が前方移動するのを防ぐ機能があり、脛骨が前方移動してしまうと前十字靭帯への負荷へとつながります。

 

脛骨の傾斜と前十字靭帯損傷の発生率

骨の形状は見えない怪我のリスクとなっている場合があります。

ある研究で前十字靭帯損傷した人の脛骨を評価し、その後の怪我の発生状況を追跡調査したところ、前十字靭帯再断裂した人達は脛骨の傾斜がわずかに大きい傾向にあったようです。そして、多くの研究でこのような傾向が報告されており、脛骨の傾斜は前十字靭帯損傷のリスクであると考えられています。

前十字靭帯断裂

ただし、前十字靭帯を再断裂した人とそうでない人では脛骨の傾斜の角度がわずかに1〜2度しか違っていないという報告もあることから4・6、前十字靭帯損傷の決定的な要因というわけではなくて、あくまでひとつの要素に過ぎません。

 

怪我の予防について

このような骨の形状による前十字靭帯への負荷を改善していくには、エクササイズなどに取り組んでいくことが役に立つかと思います。

膝の骨

骨の形状であるため先天的な要素が大きく、その形状からも練習のしすぎなどによって引き起こされる骨の構造の変化とは考えにくいかと思います。このためトレーニング内容などを調整することで後天的に骨の形状を変えることは難しいかと思います。

そして、手術によっても脛骨の傾斜に悪影響を与える場合もあるようです。このため特定の手術についてはこういったところを考慮する必要があるかと思います。

高位脛骨骨切り術による負荷の変化

 

骨の形状は簡単には変えられないので、後天的に変えることができる要素に注目してトレーニングすることが役に立つかと思います。

 

まとめ

脛骨の傾斜が大きくなると前十字靭帯への負荷が高まる可能性があります。骨の形状を後天的に変化させることは難しいため、しっかりと怪我予防のトレーニングなどに取り組み、少しでも前十字靭帯に負荷がかからないような身体づくりが大切になってくるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Shelburne KB, Kim H-J, Sterett WI, Pandy MG. Effect of posterior tibial slope on knee biomechanics during functional activity. Journal of Orthopaedic Research. 2011;29(2):223-231.
  2. Dejour H, Bonnin M. Tibial translation after anterior cruciate ligament rupture. Two radiological tests compared. The Journal of Bone and Joint Surgery British volume. 1994;76-B(5):745-749.
  3. Hashemi J, Chandrashekar N, Gill B, et al. The Geometry of the Tibial Plateau and Its Influence on the Biomechanics of the Tibiofemoral Joint. J Bone Joint Surg Am. 2008;90(12):2724-2734.
  4. Webb JM, Salmon LJ, Leclerc E, Pinczewski LA, Roe JP. Posterior Tibial Slope and Further Anterior Cruciate Ligament Injuries in the Anterior Cruciate Ligament–Reconstructed Patient. Am J Sports Med. 2013;41(12):2800-2804.
  5. Wordeman SC, Quatman CE, Kaeding CC, Hewett TE. In vivo evidence for tibial plateau slope as a risk factor for anterior cruciate ligament injury: a systematic review and meta-analysis. Am J Sports Med. 2012;40(7):1673-1681.
  6. Blanke F, Kiapour AM, Haenle M, et al. Risk of Noncontact Anterior Cruciate Ligament Injuries Is Not Associated With Slope and Concavity of the Tibial Plateau in Recreational Alpine Skiers: A Magnetic Resonance Imaging-Based Case-Control Study of 121 Patients. Am J Sports Med. 2016;44(6):1508-1514. doi:10.1177/0363546516632332

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