前十字靭帯損傷

大腿四頭筋の筋力と前十字靭帯損傷後のパフォーマンス

前十字靭帯を断裂すると大腿四頭筋などの筋肉が働きにくくなると言われています。大腿四頭筋の働きが低下することで身体に負荷がかかりやすくなったり、パフォーマンスが低下したりする可能性があります。

大腿四頭筋

ポイント

  • 大腿四頭筋が弱いとジャンプの着地時の非対称性が大きくなりやすい可能性があります。
  • 大腿四頭筋が弱いと片足ジャンプの飛距離が低い傾向にあるようです。
  • しっかりと筋力を回復させることはスポーツへの復帰や怪我予防の上で大切です。

 

前十字靭帯損傷と筋力発揮の低下について

大腿四頭筋は前十字靭帯への負荷を高めてしまうから、身体を守るために大腿四頭筋の働きを抑えているという説があります。

このため大腿四頭筋を鍛える意味があるのか?という疑問が生まれることもあるかもしれません。

 

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大腿四頭筋のリハビリの効果

前十字靭帯断裂後に大腿四頭筋のリハビリを行った場合と、やらなかった場合とを比べた研究がありますが、

大腿四頭筋のエクササイズをやらないと膝が不安定になりやすく、大腿四頭筋のエクササイズをやることで膝の痛みが軽減し、膝の可動域も高まりやすいことが報告されています

大腿四頭筋が前十字靭帯に負荷をかけるのではないか?という説もありますが、大腿四頭筋のリハビリを行うことはとても大切です。

 

大腿四頭筋の筋力とパフォーマンス

前十字靭帯断裂をすると大腿四頭筋の働きが弱くなりますが、これによってパフォーマンス低下などが起こると考えられています。

片足ジャンプ

  • 前十字靭帯断裂後に大腿四頭筋が弱いとジャンプの着地時の非対称性が大きくなりやすいことが報告されています2・3
  • 前十字靭帯断裂した人達を対象にした研究では、大腿四頭筋が弱いと片足ジャンプのパフォーマンスが低いことが報告されています
  • 大腿四頭筋の筋力は膝の状態に影響し、筋力が高いほど膝の状態が良い傾向にあるようです

このように大腿四頭筋などの筋力は、その後のパフォーマンスや膝の状態に関係してきます。

 

大腿四頭筋の筋力とスポーツへの復帰

スポーツの復帰には様々な要因が影響してくるため、筋力だけが全てではありません。

例えば、前十字靭帯再建手術後6ヶ月時点での筋力はその後のスポーツ復帰の度合いと関連していなかったという研究結果もあります

サッカーのキック

スポーツなどへの復帰には筋力だけでなく、可動域やバランス感覚、恐怖心など様々な要因が影響してきます。

筋力を高めれば全てが解決するわけではありませんが、スポーツへの復帰や再断裂の予防などを考えてもしっかりと筋力を高めていくことが重要です。

前十字靭帯を断裂した方で、筋肉がうまく働くようになったら膝が少し楽になったという事例も少なくないですからね。

 

ハムストリングスを鍛えるのも忘れずに

大腿四頭筋を鍛えるのは重要なのですが、大腿四頭筋の反対にあるハムストリングスを鍛えるのも忘れてはいけません。

大腿四頭筋に対してハムストリングスが弱すぎるのは怪我の原因になりやすいと考えられています。

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まとめ

前十字靭帯損傷後は身体を守るために大腿四頭筋の働きが抑制されるという説がありますが、大腿四頭筋を鍛えることで身体への負荷が軽減されたり、パフォーマンスが向上しやすくなるようです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Shaw T, Williams MT, Chipchase LS. Do early quadriceps exercises affect the outcome of ACL reconstruction? A randomised controlled trial. Aust J Physiother. 2005;51(1):9-17. doi:10.1016/s0004-9514(05)70048-9
  2. Ithurburn MP, Paterno MV, Ford KR, Hewett TE, Schmitt LC. Young Athletes With Quadriceps Femoris Strength Asymmetry at Return to Sport After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction Demonstrate Asymmetric Single-Leg Drop-Landing Mechanics. Am J Sports Med. 2015;43(11):2727-2737.
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