前十字靭帯損傷

前十字靭帯損傷に伴う周辺組織へのダメージが膝の機能を低下させる

膝のダメージ

前十字靭帯損傷は長期間の離脱を余儀なくされるだけでなく、その後にも怪我の再発や別の怪我が発生するリスクがあります。というのも前十字靭帯損傷は周辺組織にもダメージが及ぶことが珍しくないですし、想像以上に広範囲に影響を及ぼしている可能性があるのです。

前十字靭帯の手術をして無事に復帰できればいいのですが、このようなことが積み重なっていくと選手生命を左右しかねない怪我へと発展していく可能性があります。

 

ポイント

  • 前十字靭帯損傷に伴い周辺組織もダメージを受けていることが珍しくありません
  • 半月板や軟骨など周辺組織の損傷が大きいほど膝の機能が低下しやすくなります
  • しっかりとリハビリやエクササイズに取り組み膝の機能を高めることが大切です

 

前十字靭帯損傷と変形膝関節症のリスク

前十字靭帯を怪我した人の50%がその後に変形性膝関節症を発生しているという報告があります

変形性座関節症

色々な理由が考えられますが前十字靭帯損傷に伴い周辺組織もダメージを受けていることが多いということもひとつの理由と考えられています。周辺組織へのダメージが少ないケースもありますが、前十字靭帯損傷に伴い周辺組織も損傷していることも多く発生しています。

半月板

半月板や軟骨などは修復速度が遅く、一度ダメージを受けるとなかなか回復しにくいと言われています。

これにより膝の機能が低下し、膝への負荷が高まり、やがて変形性膝関節症へと繋がる可能性があります。

 

半月板損傷を伴うことで膝の機能が低下する

半月板の損傷によりさらなる怪我を招きやすくなる可能性があります。

  • 前十字靭帯損傷に伴い半月板もダメージを受けている人とそうでない人を約10年後に追跡調査した研究があり、これによると半月板損傷を併発している人のほうが痛みが多くみられ、膝の機能もより低下していたそうです
  • 他にも同様の結果が報告されており、前十字靭帯損傷に伴い半月板を損傷している人達のほうが変形性膝関節症を発症する可能性が高い傾向にあるようです

これは半月板には衝撃吸収するという役割があり、半月板へのダメージでこの機能が低下してしまう可能性があるわけですね。このような要素がその後の怪我の発生率にも影響していることが考えられます。

半月板損傷
膝の損傷や手術で膝への機能が低下するかもしれない

膝の怪我によって半月板などがすり減ってしまってしまうことがあります。また膝の怪我に対する手術で半月板などを削る必要がある場合もあります。このような時には膝の機能が低下してしまうことがあり、健康な人と同 ...

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軟骨損傷を伴うことでも膝の機能が低下する?

半月板だけでなく軟骨へのダメージも影響してくる可能性があります。

軟骨のダメージ

  • いくつかの研究で前十字靭帯損傷に軟骨損傷を伴っている人のほうが変形性膝関節症を発症しやすいということが確認されています
  • 前十字靭帯再建手術を受けた人の軟骨の厚さと歩行動作を調べた研究があり、軟骨の厚さにより歩行動作が変化する傾向にあることが確認されています

このように軟骨にダメージを受けることで膝の機能が低下し、歩行動作などにも影響が出ているのかもしれませんね。

海辺を歩く人
軟骨の構造と変形性膝関節症のリスクについて

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まとめ

このように前十字靭帯損傷に伴う周辺組織へのダメージで膝の機能が低下している可能性があり、思っている以上に身体に負荷がかかっていたり、以前のような機能を獲得することに苦労するということが起こり得ますし、さらなる怪我の発症などにもつがります。

こういったことからも前十字靭帯損傷からの競技復帰には慎重になったほうがいいですし、しっかりとリハビリをやることが大切ではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Harris KP, Driban JB, Sitler MR, Cattano NM, Balasubramanian E, Hootman JM. Tibiofemoral Osteoarthritis After Surgical or Nonsurgical Treatment of Anterior Cruciate Ligament Rupture: A Systematic Review. Journal of Athletic Training. 2015;52(6):507-517.

  2. Friel NA, Chu CR. The role of ACL injury in the development of posttraumatic knee osteoarthritis. Clin Sports Med. 2013;32(1):1-12.

  3. Wu WH, Hackett T, Richmond JC. Effects of meniscal and articular surface status on knee stability, function, and symptoms after anterior cruciate ligament reconstruction: a long-term prospective study. Am J Sports Med. 2002;30(6):845-850.

  4. Pamukoff DN, Montgomery MM, Holmes SC, Moffit TJ, Garcia SA, Vakula MN. Association between gait mechanics and ultrasonographic measures of femoral cartilage thickness in individuals with ACL reconstruction. Gait Posture. 2018;65:221-227.

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