前十字靭帯損傷

ハムストリングスの筋力が前十字靭帯断裂を防ぐ

ハムストリングスの筋肉

前十字靭帯を断裂してしまうと手術とリハビリを余儀なくされ、スポーツに復帰するのに半年以上かかってしまうことも珍しくなく、この怪我でシーズンを棒に振ってしまう選手が後を絶ちません。

ハムストリングスの働きには前十字靭帯への負荷を和らげる効果があることから、前十字靭帯損傷予防やリハビリにおいてハムストリングスは重要です。

 

ポイント

  • ハムストリングスを鍛えることで前十字靭帯への負荷を軽減できます
  • スポーツ選手のハムストリングスの筋力不足は珍しくありません
  • 前十字靭帯断裂をした人はハムストリングスの筋力が弱い傾向にあったそうです

 

ハムストリングスの働きが前十字靭帯を守る

一般的に脛が前方に移動することによって前十字靭帯への負荷がかかると考えられています。

ハムストリングスが前方への剪断力を防ぐ

参照https://www.peakendurancesport.com/endurance-injuries-and-health/muscles-and-tendons/a-balanced-approach-to-leg-strength/

上の図のようにハムストリングスは骨を後方に移動させる力が働くため、前十字靭帯への負荷を減らせると考えられています

こういった理由からハムストリングを鍛えることは前十字靭帯の怪我を防ぐために重要ではないかと考えられています。

 

ハムストリングスの強度と前十字靭帯への負荷

ハムストリングスを鍛えることで前十字靭帯の負荷を軽減できる可能性があります。

大臀筋とハムストリングス

  • ハムストリングスの強度が高いことで前十字靭帯への負荷が減少していたことが確認されています2・3
  • ハムストリングスの疲労により前十字靭帯への負荷を高めてしまう可能性があります4・5

ハムストリングスの重要性を頭でわかっていても、ついつい忘れたり軽視してしまうことがあるので注意が必要です。

 

前十字靭帯再建後リハビリとハムストリングス

前十字靭帯の手術後においてもハムストリングをしっかりと鍛えることが重要です。

というのもリハビリの初期においては徹底的に鍛えることは多くても、スポーツへ復帰する時期などにはダッシュやジャンプなどのエクササイズが増えてきて、

ハムストリングスを鍛えることの意識が徐々に希薄になってくることがあるからです。

芝生スタジアム

とある研究においては前十字靭帯の手術後の3年後には約半分の人達がハムストリングスの筋力に左右差が生まれていたという報告があります

ハムストリングスの筋力に左右差があると歩行動作やジョギングの動作などにも影響が及び、前十字靭帯への負荷を高めてしまうリスクとなる可能性があります。

 

ハムストリングスのトレーニングについて

ハムストリングスのトレーニングにはさまざまなものがあります。

例えば、スクワットもフォーム次第では大腿四頭筋に効くか、ハムストリングスに効くのかが変わってくることがあります。

(Buckthorpe et al 2021より引用)

病院でのリハビリや、ジムに通っている時にはハムストリングスを鍛えるマシンを利用することができますが、

自分でハムストリングスを鍛えるとなると、できることが限られていてハムストリングスが十分に鍛えられていないということも起こり得ます。

(Buckthorpe et al 2021より引用)

前十字靭帯断裂を防ぐためにはハムストリングスの筋力は大腿四頭筋の60〜80%が望ましいとか言われていますが

ハムストリングスを意識的に鍛えていないと、この基準を達成できていないことが珍しくないと思います。

 

まとめ

このようにハムストリングスは前十字靭帯と深い関わりがあるのですが、ハムストリングスを鍛えることがおそろかになってしまうことも珍しくありません。

怪我のリスクを下げるためにもパフォーマンス向上のためにもハムストリングスを忘れずに鍛えておきましょう。

 

<参考文献>

  1. Shimokochi Y, Shultz SJ. Mechanisms of Noncontact Anterior Cruciate Ligament Injury. J Athl Train. 2008;43(4):396-408.

  2. Blackburn JT, Norcross MF, Cannon LN, Zinder SM. Hamstrings Stiffness and Landing Biomechanics Linked to Anterior Cruciate Ligament Loading. Journal of Athletic Training. 2013;48(6):764-772.

  3. Blackburn JT, Pamukoff DN. Geometric and architectural contributions to hamstring musculotendinous stiffness. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2014;29(1):105-110.

  4. O’Connor KM, Johnson C, Benson LC. The Effect of Isolated Hamstrings Fatigue on Landing and Cutting Mechanics. Journal of Applied Biomechanics. 2015;31(4):211-220.

  5. Faxon JL, Sanni AA, McCully KK. Hamstrings and Quadriceps Muscles Function in Subjects with Prior ACL Reconstruction Surgery. J Funct Morphol Kinesiol. 2018;3(4):E56. doi:10.3390/jfmk3040056
  6. Abourezk MN, Ithurburn MP, McNally MP, et al. Hamstring Strength Asymmetry at 3 Years After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction Alters Knee Mechanics During Gait and Jogging. Am J Sports Med. 2017;45(1):97-105
  7. Buckthorpe M, Danelon F, La Rosa G, Nanni G, Stride M, Della Villa F. Recommendations for Hamstring Function Recovery After ACL Reconstruction. Sports Med. 2021;51(4):607-624. doi:10.1007/s40279-020-01400-x
  8. Hohmann E, Tetsworth K, Glatt V. The hamstring/quadriceps ratio is an indicator of function in ACL-deficient, but not in ACL-reconstructed knees. Arch Orthop Trauma Surg. 2019;139(1):91-98. doi:10.1007/s00402-018-3000-3

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