前十字靭帯損傷後は膝周りのケアで大変かと思いますが、股関節周りもしっかりとケアすることで大臀筋などのお尻の筋肉が働きやすくなり、膝への負担を軽減できる可能性があります。
膝周りがしっかりとケアされていても、股関節周りがそこまでケアされていないと感じる事例も少なくないと個人的には感じています。
ポイント
- 膝にかかっている負荷を股関節で補うという考え方があります
- 股関節がしっかりとケアされていないとお尻の筋肉が働きにくくなる場合があります
- 股関節も忘れずにケアすることが役に立つ可能性があります
大臀筋と前十字靭帯への負荷
膝にかかっている負荷を股関節で補うという考え方があります。
例えば大臀筋を鍛えることで膝の不安定さの解消や、前十字靭帯への負荷を軽減できる可能性があります1。
股関節の硬さとお尻の筋肉への影響
股関節がしっかりとケアされていないとお尻の筋肉が働きにくくなる場合があります。
例えば、腸腰筋が硬いと大臀筋の活動量が低下しやすいことが報告されており2、股関節が硬いことで膝への負担が大きくなってしまう可能性があります。
前十字靭帯断裂において膝の痛みに襲われることが多いことや、膝の可動域が低下することから膝のケアが中心になるかと思います。このため相対的に股関節周りが硬くなってしまったり、股関節の機能が低下してしまうことが起こり得るかと思います。
これによって大臀筋などお尻の筋肉がうまく機能せずに膝に負担がかかりやすいという状況もあるのではないでしょうか。
股関節の機能を高めて前十字靭帯への負荷を減らす
股関節をほぐした後に大臀筋のエクササイズをやるというのがひとつの方法になるかと思います。
例えば、次の図のように腸腰筋をストレッチすることが手軽にできる方法のひとつですね。
こういったストレッチで腸腰筋をほぐした後に、大臀筋のエクササイズをやることで大臀筋をうまく使いやすくなります。
大臀筋のエクササイズはたくさん種類がありますが、基本的にはお尻に力が入っているのを感じながらエクササイズを行うことがポイントになってきます。
まとめ
前十字靭帯損傷後は膝周りのケアが中心になりますが、股関節周りもしっかりとケアすることで膝の負担を軽減させることができます。
やることが多くて大変かと思いますが、取り組む価値のあるものだと考えています。
<参考文献>
- Cibulka MT, Bennett J. How weakness of the tensor fascia lata and gluteus maximus may contribute to ACL injury: A new theory. Physiother Theory Pract. 2020;36(3):359-364.
- Mills M, Frank B, Goto S, et al. Effect of restricted hip flexor muscle length on hip extensor muscle activity and lower extremity biomechanics in college-aged female soccer playersE. Int J Sports Phys Ther. 2015;10(7):946-954.