前十字靭帯損傷

疲労による前十字靭帯への負荷の増加

スポーツで身体を追い込むような練習や激しい試合などでは疲労することは珍しくありませんが、身体が疲労している状態では前十字靭帯への負荷が大きくなってしまうことがあります。疲労時には身体がうまく機能しにくくなり、これが怪我の原因につながってしまうこともあるかもしれません。

 

ポイント

  • 疲労時には通常よりも前十字靭帯に負荷がかかりやすくなる傾向にあるようです。
  • 疲労時には身体を守るための筋肉の反応速度、活動量が減少する傾向にあります。
  • 動作やフォームの乱れなども身体への負荷を高める要素になることがあります。

 

疲労による前十字靭帯への負荷の増加

スポーツなどで疲労している時には前十字靭帯に負荷がかかりやすくなることが考えられます。

疲労

  • 実験でパワー発揮が半分になるほどの疲労を与えたところ、脛骨の前方移動が大きくなり前十字靭帯に負荷がかかりやすくなっていたことが報告されています
  • 別の研究でも重りを持ち上げられなくなるまでエクササイズを繰り返して疲労を与えたところ、脛骨の前方移動が大きくなり前十字靭帯に負荷がかかりやすくなっていたことが報告されています。

このように疲労状態においては通常よりも前十字靭帯に負荷がかかりやすい状態であることが確認されています。

 

筋肉の働きの低下による影響

筋肉には身体を守る働きがありますが、疲労によって筋肉の働きが低下していることが前十字靭帯に負荷がかかりやすくなる理由のひとつと考えられています。

  • ジャンプの高さや筋力発揮が半分になるほどの疲労を与えたところ、筋肉が働くタイミングが少し遅延していたことが報告されています3〜5
  • 疲労によってハムストリングが働くタイミングが少し遅くなると同時に、活動量も減少していたそうです3・4

このように疲労によって筋肉の反応速度や活動量が低下することが確認されており、これが前十字靭帯の負荷につながっていると考えられます。

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疲労による動作やフォームの影響

疲労にともなう動作やフォームの乱れも身体への負荷につながるかもしれません。

バスケ

  • 疲労によって使われる筋肉が変わってくることが報告されています
  • さらにジャンプの着地動作やスポーツ時の動きなどもが疲労によって変化することがあります
  • ただし、疲労による動作の変化は一定のパターンを示すわけではなく個人差がとても大きいようです

細かい論点はあるかとは思いますが、疲労によって身体がうまく機能しない、身体への負荷が増してしまうという考え方は腑に落ちるものがあるかと思います。

 

まとめ

スポーツなどでは疲労は避けられませんが、それによって前十字靭帯への負荷が少し高まることも考えられます。基本的な持久力の獲得や、疲れている時にこそ身体をケアすることが大切になってくるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

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