アキレス腱障害

ストレッチでアキレス腱炎を防ぐことができない?

怪我予防の一環としてストレッチが広く取り入れられていますが、ストレッチとアキレス腱障害の予防効果には議論があります。

ここで関連する文献を紹介しながら、その効果について考察していきたいと思います。

 

ストレッチのアキレス腱障害の予防効果

興味深いことにストレッチでアキレス腱障害を予防する効果がみられた研究はひとつもなかったことが報告されています1・2

ふくらはぎのストレッチ

一般的には多少なりともストレッチに何らかの怪我予防効果がみられる、あるいは効果のありなしで賛否両論分かれるというのが普通なのですが、

ストレッチにアキレス腱障害を予防する効果があったとする研究がひとつもなかったというのは驚きです。

 

そもそもの研究数が少ないということもあり、たまたまこういうことが起こっているという可能性もありますが、

アキレス腱の性質上ストレッチが効果を発揮しにくいということも考えられます。

 

ストレッチとアキレス腱障害に関する考察

ストレッチがアキレス腱障害に及ぼす影響には様々な可能性が考えられます。

 

身体の部位による違い

まず大前提として他の部位の腱に関する怪我においてはストレッチが怪我予防効果を発揮する可能性があります。

  • 膝蓋腱炎においてはストレッチによって予防効果が期待できる可能性があります
  • 足底筋膜炎は足首の可動域の低下が怪我のリスクとなっており、ふくらはぎの柔軟性が大いに関係しています

このようなことからアキレス腱障害の予防にならなくとも、ふくらはぎのストレッチには他の種類の怪我予防の意義があります。

 

可動域との関連性

アキレス腱障害ににおいては可動域の低下が怪我のリスクとなるかは微妙なところであり、足首の可動域低下とアキレス腱障害の関係性について賛否両論あります

(Morales et al 2017より引用)

  • 足首の可動域制限はランニングやジャンプのフォームに影響を及ぼす可能性があり、効率の悪いフォームとなってまうこともあるかもしれません。
  • 足首の可動域低下は過剰な負荷がかかっていることや疲労蓄積などと関係していることが考えられます。

このようなことから足首の可動域の低下とアキレス腱障害に何らかの関係性がある可能性は否定できませんが、アキレス腱障害予防としては強い期待はできないかもしれません。

 

弾力性やエネルギー伝達

ストレッチを行うことでアキレス腱が伸びやすくなりますが、ストレッチ直後は溜めたエネルギーを跳ね返す力が小さくなります。いわゆる伸びきったゴムのようなイメージでしょうか。

アキレス腱

アキレス腱はランニングやジャンプなどの動作において弾力性を発揮してエネルギー伝達を行う役割がありますが、ストレッチによってこの機能を高められるかは微妙なところです

アキレス腱のエネルギー伝達効率を高めたい場合にはストレッチよりもトレーニングを行うほうが効果的かと思います。

 

腱を強くするためのトレーニング

疲労回復

ストレッチによる血流改善や疲労回復、筋肉痛などの軽減効果が考えられます。

このような意味で練習後にストレッチをするのは意義があるのではないかと思います。

 

治療やリハビリ

アキレス腱障害を起こした場合にはストレッチが治療やリハビリの一環として取り入れられることは珍しくありません。

怪我が回復していくことが多いですし、ストレッチの効果に大きな問題はないかと思います。

 

アキレス腱の治療やリハビリにおいては運動量や負荷が調整され、アキレス腱に過剰な負荷がかかりにくいということも効果の違いに関係しているのかもしれません。

適度な休養や運動量の調整といったことは大事になってくるかと思います。

 

まとめ

アキレス腱障害の予防にストレッチが全く役に立たないというわけではありませんが、怪我予防の観点では高い効果が期待できない可能性があります。

ストレッチだけでなく色々な方法を取り入れていくことが大事になってくるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Peters JA, Zwerver J, Diercks RL, Elferink-Gemser MT, van den Akker-Scheek I. Preventive interventions for tendinopathy: A systematic review. J Sci Med Sport. 2016;19(3):205-211. doi:10.1016/j.jsams.2015.03.008
  2. U F, L B, Nt A. Prophylactic training in asymptomatic soccer players with ultrasonographic abnormalities in Achilles and patellar tendons: the Danish Super League Study. The American journal of sports medicine. 2008;36(3). doi:10.1177/0363546507310073
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  8. Freitas SR, Mendes B, Le Sant G, Andrade RJ, Nordez A, Milanovic Z. Can chronic stretching change the muscle-tendon mechanical properties? A review. Scand J Med Sci Sports. 2018;28(3):794-806. doi:10.1111/sms.12957
  9. Morales CR, Lobo CC, Sanz DR, Corbalán IS, Ruiz BR, López DL. The concurrent validity and reliability of the Leg Motion system for measuring ankle dorsiflexion range of motion in older adults. PeerJ. 2017;5:e2820. doi:10.7717/peerj.2820

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