アキレス腱障害

アキレス腱炎の隠れた原因であるヒラメ筋について

ヒラメ筋

ふくらはぎの筋肉は腓腹筋とヒラメ筋で構成されていますが、腓腹筋のトレーニングが好まれる傾向があります。

アキレス腱障害のリハビリでも腓腹筋に注目が集まりやすい傾向にありますが、ヒラメ筋は想像以上に大事な役割を担っている可能性があります。

 

ポイント

  • ふくらはぎの筋肉の中でもヒラメ筋の体積が大きな割合を占めています。
  • 腓腹筋よりもヒラメ筋のほうがマラソンのタイムとの関係性が強い可能性があります。
  • アキレス腱障害においてはヒラメ筋のほうが筋力低下が大きい傾向にあります。

 

解剖学

ヒラメ筋よりも腓腹筋のほうが注目が集まることが多いのですが、まずはそれぞれの筋肉の解剖学的な違いを見ていきましょう。

 

腓腹筋

腓腹筋は足関節と膝関節の2つ関節にまたがった構造をしています。

腓腹筋

膝を曲げた状態では腓腹筋が緩んで力が入りにくいため

腓腹筋を鍛えるには膝をまっすぐにした状態でのトレーニングがいいと考えられています。

腓腹筋のトレーニング

一般的にはふくらはぎの筋肉を鍛える場合には、こういった腓腹筋のトレーニングになることが多いかと思います。

 

ヒラメ筋

ヒラメ筋は足関節の1つの関節にまたがっており、膝関節など複数の関節にまたがっているわけではありません。

ヒラメ筋

このため膝を曲げた状態では腓腹筋が緩んで力が入りにくい一方で、ヒラメ筋は膝を曲げた状態でも力が入りやすく、

ヒラメ筋を鍛えるには膝を曲げてのトレーニングがよいと考えられています。

ヒラメ筋のトレーニング

しかし、こういった膝を曲げた状態でのトレーニングはあまり人気がなく、ヒラメ筋のトレーニングは積極的に取り入れられるようなものではありません。

 

ランニングとの関係性

あまり鍛えられることの少ないヒラメ筋ですが、想像しているよりも大事な筋肉かもしれません。

ある研究では腓腹筋よりもヒラメ筋のほうがマラソンのタイムとの相関関係が強いことが報告されています

(Kovács et al 2020より引用)

その理由として、腓腹筋よりもヒラメ筋のほうが体積が大きく、瞬発力よりも持久力に優れた筋肉であるため

ランニング時にヒラメ筋が生み出す力が大事ではないかと考えられています。

 

アキレス腱障害との関係性

アキレス腱障害のリハビリにおいてヒラメ筋よりも腓腹筋のトレーニングが多く行われる傾向にありますが、ヒラメ筋もしっかりと鍛えたほうがいいかもしれません。

アキレス腱炎

というのもアキレス腱障害において腓腹筋よりもヒラメ筋のほうが筋力低下が大きいことが報告されています3・4

見逃されがちではありますが、ヒラメ筋の筋力を回復させることが役に立つかもしれません。

 

考察

ヒラメ筋と腓腹筋のリハビリの効果を比べた研究はほとんどなく、ヒラメ筋を鍛えた方が効果が高いという直接の根拠があるわけではありません。

 

しかし、基本的にはほとんどの筋肉には鍛えることで身体の負荷を軽減できる可能性があり、

特定の筋肉だけを集中的に鍛えるよりも、筋肉の連動性をうまく活かして、チームワークを発揮できる状態のほうが効果が高いケースが多々あります。

 

いずれにしてもヒラメ筋を鍛えていない場合には、ヒラメ筋も鍛えた方がいいのではないかと思います。

 

まとめ

マラソンのタイムとの関係性やアキレス腱障害時の筋力低下など、ヒラメ筋は想像以上に大事な筋肉であり、しっかりと鍛えておくことが役に立つ可能性があります。

 

<参考文献>

  1. Arampatzis A, Karamanidis K, Stafilidis S, Morey-Klapsing G, DeMonte G, Brüggemann GP. Effect of different ankle- and knee-joint positions on gastrocnemius medialis fascicle length and EMG activity during isometric plantar flexion. Journal of Biomechanics. 2006;39(10):1891-1902. doi:10.1016/j.jbiomech.2005.05.010
  2. Kovács B, Kóbor I, Gyimes Z, Sebestyén Ö, Tihanyi J. Lower leg muscle–tendon unit characteristics are related to marathon running performance. Sci Rep. 2020;10(1):17870. doi:10.1038/s41598-020-73742-5
  3. O’Neill S, Barry S, Watson P. Plantarflexor strength and endurance deficits associated with mid-portion Achilles tendinopathy: The role of soleus. Physical Therapy in Sport. 2019;37:69-76. doi:10.1016/j.ptsp.2019.03.002
  4. Heikkinen J, Lantto I, Flinkkila T, et al. Soleus Atrophy Is Common After the Nonsurgical Treatment of Acute Achilles Tendon Ruptures: A Randomized Clinical Trial Comparing Surgical and Nonsurgical Functional Treatments. Am J Sports Med. 2017;45(6):1395-1404. doi:10.1177/0363546517694610

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