アキレス腱障害

アキレス腱障害とふくらはぎの筋肉

アキレス腱障害には様々な原因がありますが、その中でもふくらはぎの筋肉とアキレス腱障害には深い関係があるかと思います。ふくらはぎの筋肉のバランスの乱れや機能低下がアキレス腱の負荷へとつながり、アキレス腱の怪我のリスクを高めてしまう可能性があります。

 

ポイント

  • ふくらはぎの延長線上にアキレス腱があり、これらは密接につながっています
  • アキレス腱やふくらはぎの筋肉3つの繊維で構成されており、このバランスの乱れも怪我に関係しているかもしれません
  • かかとを挙げる動作にはふくらはぎの筋肉が関係しており、この動作がアキレス腱の怪我に関係していると考えられています

 

ふくらはぎとアキレス腱がつながっている

アキレス腱の延長にふくらはぎの筋肉が繋がっており、アキレス腱障害とふくらはぎの筋肉には密接な関係があると考えられています。

ふくらはぎの筋肉

ふくらはぎに繰り返し負荷を与え続けていると、それはアキレス腱のダメージへと繋がってアキレス腱障害に発展する可能性があります。

また、つま先での動作などはふくらはぎの筋肉をより使う傾向があり、これがアキレス腱の負荷を高めてしまう可能性があるわけです。

 

アキレス腱が複数の繊維に分かれている

ふくらはぎの筋肉は外側と内側の腓腹筋とヒラメ筋というように、複数の筋肉で構成されていますが、このバランスの乱れがアキレス腱の負荷に関係している可能性があります。

アキレス腱の構造と複数の繊維

(Pekala et al 2017より引用)

  • アキレス腱も複数の繊維に分かれており、それらの繊維がねじれてアキレス腱が構成されています
  • 負荷をかけた時にそれぞれのアキレス腱の繊維は引き伸ばされ方にわずかな違いが生じる可能性があるようです

アキレス腱のそれぞれの繊維の引き伸ばされ方にふくらはぎの各々の筋肉が影響している可能性があるようですが、アキレス腱のそれぞれの繊維がふくらはぎのどの筋肉に対応しているのかについては議論が分かれるようです1〜3

 

各筋肉のバランスが影響している?

複数の筋肉で構成されていますが、このバランスの乱れがアキレス腱の負荷に関係している可能性があります。

ふくらはぎの筋肉

アキレス腱障害を持っている人達は外側の腓腹筋の活動が低下していたという報告があります。これはふくらはぎの筋肉のバランスの乱れが、アキレス腱のそれぞれの繊維における動きや擦れ方などに影響してくるのではないかという可能性が考えられるのではないでしょうか。

これらのアキレス腱の各繊維の構造とふくらはぎの筋肉に関する研究はまだまだ数が少なく不明なことも多いのですが、ふくらはぎの各筋肉のバランスを整えてアキレス腱の負荷を軽減させるという発想自体はありかもしれません。

 

怪我によるふくらはぎの筋肉への影響

アキレス腱障害やアキレス腱断裂などの怪我はふくらはぎの筋肉にも影響を与え、その機能が低下してしまう可能性があります。

ふくらはぎの機能とスポーツの動作

かかとをあげる動作はふくらはぎの筋肉の機能を簡易的に調べることができます。

かかとを挙げる動作のテスト

(Brorsson et al 2017より引用)

  • アキレス腱断裂後において、片足でかかとを挙げる動作の高さがその後のランニングやジャンプなどにおける足首の働きに関連していることが報告されています
  • かかとを挙げる動作の高さがない場合にはアキレス腱が引き伸ばされている傾向にあることが報告されています。アキレス腱が引き伸ばされることで負荷がかかる可能性があると考えられています。
  • ふくらはぎの筋肉の低下など他の要素もかかとを挙げる高さに影響するため、このかかとを挙げる動作の高さだけで正確に評価できるわけではありませんが、簡易的な方法として価値があるようです

この動作がうまくできないことはふくらはぎやアキレス腱が機能低下している可能性があり、それがランニングやジャンプといった動作に影響を及ぼす可能性が考えられます。

 

機能を高めることが重要になる

アキレス腱断裂など怪我をすることで、ふくらはぎの筋肉などの機能は低下しやすくなります。

かかとの痛み

  • アキレス腱を断裂した人の手術後のランニング動作を調べたところ、ランニング時の足首の働きが低下して他の部位で代償していた傾向にあったそうです。これは足首に負荷がかからないように他の部位がかばっているのかもしれません。
  • アキレス腱の断裂を繰り返している人達のふくらはぎが細くなっていたり、持久力の低下やふくらはぎの動きが小さくなっていたりする傾向があったたそうです
  • ある研究ではアキレス腱の断裂後の約7年後においても、怪我をした脚のふくらはぎの筋力や持久力が低下したままになっていたそうです10

足首をかばうような動きが必ずしもいい結果をもたらすとは限りらず、ふくらはぎをしっかりと鍛えて足首の機能を回復させることが重要になってきます。

というのも一度怪我をした部分は簡単に機能を取り戻せるわけではなく、怪我をした後にリハビリなどにしっかり取り組むなどしてその機能を高めておくことが大切になってくるかと思います。

ふくらはぎがアキレス腱につながっているため、ふくらはぎを鍛えることでアキレス腱にも負荷がかかる可能性があるため過度な負荷がかからないように注意することも大切になってきます。

 

まとめ

ふくらはぎの筋肉とアキレス腱障害には密接な関係があります。ふくらはぎの筋肉のバランスの乱れや機能低下がアキレス腱の負荷へとつながる可能性があり、しっかりと機能を高めておくことがアキレス腱の怪我を防ぐ上で大切になってくるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Pękala PA, Henry BM, Ochała A, et al. The twisted structure of the Achilles tendon unraveled: A detailed quantitative and qualitative anatomical investigation. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. 2017;27(12):1705-1715.
  2. Bogaerts S, De Brito Carvalho C, Scheys L, et al. Evaluation of tissue displacement and regional strain in the Achilles tendon using quantitative high-frequency ultrasound. PLoS One. 2017;12(7).
  3. Clark WH, Franz JR. Do triceps surae muscle dynamics govern non-uniform Achilles tendon deformations? PeerJ. 2018;6:e5182.
  4. Crouzier M, Tucker K, Lacourpaille L, et al. Force-sharing within the Triceps Surae: An Achilles Heel in Achilles Tendinopathy. [Miscellaneous Article]. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2020;52(5):1076-1087.
  5. Brorsson A, Willy RW, Tranberg R, Grävare Silbernagel K. Heel-Rise Height Deficit 1 Year After Achilles Tendon Rupture Relates to Changes in Ankle Biomechanics 6 Years After Injury. Am J Sports Med. 2017;45(13):3060-3068.
  6. Silbernagel KG, Steele R, Manal K. Deficits in heel-rise height and achilles tendon elongation occur in patients recovering from an Achilles tendon rupture. Am J Sports Med. 2012;40(7):1564-1571.
  7. Diniz P, Pacheco J, Guerra-Pinto F, Pereira H, Ferreira FC, Kerkhoffs G. Achilles tendon elongation after acute rupture: is it a problem? A systematic review. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. Published online May 3, 2020.
  8. Jandacka D, Zahradnik D, Foldyna K, Hamill J. Running biomechanics in a long-term monitored recreational athlete with a history of Achilles tendon rupture. BMJ Case Rep. 2013;2013.
  9. Westin O, Nilsson Helander K, Grävare Silbernagel K, Samuelsson K, Brorsson A, Karlsson J. Patients with an Achilles tendon re-rupture have long-term functional deficits and worse patient-reported outcome than primary ruptures. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2018;26(10):3063-3072.
  10. Brorsson A, Grävare Silbernagel K, Olsson N, Nilsson Helander K. Calf Muscle Performance Deficits Remain 7 Years After an Achilles Tendon Rupture. Am J Sports Med. 2018;46(2):470-477.

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