最近ではフォームローラーを使って身体をほぐす方法が知られてきており、フォームローラーを持っているという人も増えてきました。
一方でフォームローラーを使って身体をほぐすことに効果はあるんですか?と質問されることがあり、フォームローラーの効果とオススメの使い方についてご紹介していきたいと思います。
フォームローラーとは
フォームローラーは筒状のツールで、体重を乗せてコロコロと身体を動かすことで筋肉をほぐすことができるものです。
場所や使い方次第でほぐす際の痛みがあるかもしれませんが、身体がスッキリと軽くなります。
フォームローラーの効果
柔軟性
フォームローラーを使うことの効果は何より、柔軟性が向上する効果があることです1・2。
フォームローラーに乗ってゴロゴロするだけで筋肉のコリに効かせることができ、身体を柔らかくほぐすせます。
ストレッチとフォームローラーを組み合わせることで、より高い柔軟性を獲得できる可能性があるという研究結果もあります3。
それぞれ筋肉に届く範囲が微妙に違うので、フォームローラーを組み合わせることがより高い効果を発揮するのかもしれません。
筋肉痛
フォームローラーには筋肉痛を減らす効果が報告されており2、アスリートの日々の練習後のケアにフォームローラーを使うことで筋肉痛を軽減することができます。
一般的にストレッチで筋肉をほぐすよりも、マッサージなどで直接筋肉をほぐしたほうが筋肉痛を軽減する効果が高いとされています4。
激しい練習の後にはフォームローラーを使うことで翌日の筋肉痛が楽になるかもしれません。
痛みの軽減?
痛みを抱えている人がフォームローラーを使うことがあるかもしれませんが、痛みを減らす効果に関して科学的根拠は弱いようです1。
フォームローラーで身体をほぐすほど痛みが良くなるということはあまり期待しない方がいいかもしれません。
またフォームローラーを使うことによるスポーツの怪我予防についても科学的根拠はなく、日々フォームローラーを使って身体をケアすることが怪我の予防になるかというと微妙なところです。
振動付きフォームローラーの効果
最近では振動機能付きのフォームローラーも販売されていて、持っている人も徐々に増えている印象があります。
振動機能付きのフォームローラーは可動域の改善効果が高い5、筋肉痛の軽減効果が高いといった効果が報告されています6・7。
電動フォームローラーは値段も高くなりますが、効果も高くなると言えるでしょう。
フォームローラーのメリット
広範囲を手軽にほぐせる
ストレッチやマッサージなど身体のケアの方法には様々なものがありますが、その中でもフォームローラーが優れているのは広範囲を手軽にほぐすことができる点です。
マッサージやストレッチでほぐすよりもフォームローラーでほぐしたほうが、圧倒的に短い時間で広範囲のケアができます。
そしてフォームローラーに乗ってゴロゴロするだけでいいので、さほど特別なテクニックや技術もいらないというのが利点です。
身体のケアの習慣化
毎日ストレッチの習慣をやろうと思うと、これが結構大変なことになります。
練習後に何十分もかけて全身をストレッチすることになり、手間がかかりすぎて結局長続きしないということが起こりやすいです。
一方でフォームローラーならば数分間ゴロゴロするだけでも広範囲をほぐすことができるので、身体のケアがしやすく、習慣として取り入れやすいという強みがあります。
フォームローラーのデメリット
効果の限界
フォームローラーの効果には限界があり、何十分とフォームローラーを使っても効果が限られています。
そもそもフォームローラー自体が筋肉の深いところに届きにくいという性質があり、なんでもかんでもほぐせるわけではありません。
筋肉の硬さや場所次第では他の方法でほぐしたほうが効果が高い場合もあります。
また、フォームローラーを毎日使ったからといって劇的に柔軟性が改善するわけでもありません。
毎日フォームローラーを使うことで筋肉がある程度ほぐれた状態になるのですが、そこから先に進むことが難しい印象です。
使えば使うほど効果が高まるというものではなく、たまに使うくらいのほうが効果を発揮するという面があると思います。
筋膜リリースに対する誤解
フォームローラーは筋膜リリースとして紹介されることがありますが、筋膜をほぐす効果について強い科学的根拠はありません8。
筋膜リリースという文言は誤解を与えている、と主張している論文も存在します8。
あくまでフォームローラーは筋肉をほぐすもの、という認識で差し支えないかと思います。
オススメの使い方
身体のメンテナンスとして週に1〜2回程度フォームローラーを使うことがオススメです。
高い柔軟性が求められるスポーツをしている場合には頻度を増やしてもいいかもしれません。
手軽に広範囲をほぐす方法としてフォームローラーを取り入れることで、効率的に身体のケアをすることができます。
フォームローラーでほぐす場合には、1箇所につき30秒〜60秒くらいを目安になります1。
これだけでは筋肉の硬さが残ることがあるかもしれませんが、あくまでフォームローラーは手軽にサッとほぐすためのものです。
じっくりとほぐしたい筋肉がある場合には他の方法を使ったほうが効果的であると思います。
フォームローラーだけに固執せずに、ストレッチなど他の方法をうまく組み合わせていくことが大切だと思います。
それぞれの役割を理解することでより大きな効果が手に入るのではないでしょうか。
<参考文献>
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