バスケットボールの主な怪我
ジャンパー膝
ジャンパ膝を抱えている選手は大腿四頭筋やハムストリングスの柔軟性が低下していることが報告されています1・2。
このためストレッチで大腿四頭筋やハムストリングスの筋肉を伸ばしておくことが役立ちます。
ジャンパー膝を抱えている選手はレイアップ時などの足首の動きが硬いことが報告されており3、ふくらはぎのストレッチなどで足首の柔軟性を高めておくことが役立つかと思います。
さらに、ジャンパー膝を減らすためには膝周りの筋力を強化するトレーニングなども取り入れるとより効果的です。
足首の捻挫
バスケ選手で多い怪我のひとつが足首の捻挫であり、捻挫がクセになっている人は足首の可動域が低下していることが珍しくありません。
足首の柔軟性が低下していると片足バランスなどが乱れやすくなる可能性があるため4、ふくらはぎのストレッチなどに取り組んで足首の可動域の改善しておくことが役立ちます。
そして、足首の捻挫を繰り返してしまう場合にはストレッチだけではなく、テーピングやサポーターの使用、バランストレーニングなどを取り組むことが足首の捻挫の予防にさらなる効果を発揮します。
前十字靭帯断裂
前十字靭帯断裂もバスケで起こりやすい怪我のひとつであり、前十字靭帯断裂をすると1年近く長期離脱してしまうことが珍しくありません。
NBAバスケ選手の前十字靭帯断裂について
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前十字靭帯断裂を減らすためには静的ストレッチよりも、ウォームアップ時にダイナミックストレッチを取り入れる方がより効果的です5・6。
ストレッチの取り入れ方
ウォームアップ(ダイナミックストレッチ)
ウォームアップのストレッチにおいて重要なことが練習や試合でのパフォーマンスを高めることであり、静的ストレッチよりもダイナミックストレッチの方がバスケのパフォーマンスが高める効果があります7。
そして、ウォームアップにバランス感覚やトレーニング要素を加えることでバスケ選手の怪我を減らす効果が高まることが報告されています8。
このためバスケのウォームアップではダイナミックストレッチにいくつかのトレーニング要素を加えることがより効果的なウォームアップになるかと思います。
とはいえ毎回このようなトレーニング要素の強いウォームアップを行うことは大変なので、軽く練習したい時などはのんびりストレッチするくらいでちょうどいいかと思います。
クールダウン
練習や試合後にはダイナミックストレッチではなく、静的ストレッチが適しています。
運動後のストレッチには疲労回復を高める効果があるため、リラックスしながらストレッチをすることが役立ちます。
ジャンプ力
足首の柔軟性はジャンプ力に影響する要素であり、実際にジャンプ力が高い選手は足首の柔軟性が高いという研究結果があります9。
さらに、ジャンプ力向上のためにはスクワットなどのウェイトトレーニングが必要になりますが、質の良いスクワットをやろうとするならば足首の柔らかさなどが必要になってきます。
このためふくらはぎのストレッチなどで足首の可動域を確保し、適切なフォームでスクワットなどができるようにしておくことがジャンプ力アップに役立ちます。
まとめ
バスケ選手の怪我を減らすためには大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチに加えて、足首のストレッチを行うことが怪我予防やジャンプ力アップに役立ちます。
そしてバスケでの怪我を減らすためには静的ストレッチだけでなく、ウォームアップ時にダイナミックストレッチを取り入れることが大切です。
<参考文献>
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